artscapeレビュー
建築に関するレビュー/プレビュー
富士定景─富士山イメージの型
会期:2015/01/17~2015/07/05
IZU PHOTO MUSEUM[静岡県]
IZU PHOTO MUSEUMの富士定景展がいい。日本で最も多く被写体となった富士山の写真をたどるが、山は同じでもまわりの人や風景が変化する。第一部が明治期の海外からのまなざしなどのイメージ、第二部が阿部正直博士の気象研究。特に日本側と米軍側、おのおのからの戦争と富士山の写真が印象的。5年ぶりのIZU PHOTO MUSEUMだが、アーティストの杉本博司のデザインは、やはり建築家の設計と違うという感じは変わらない。建築の場合、全体の空間を統合する論理的な一貫性を重視すると思うのだが、IZUは、それと別の感覚が働いている。建築的か、どうかの分かれ目のひとつだ。
2015/03/13(金)(五十嵐太郎)
菅木志雄 展
会期:2014/11/02~2015/03/24
ヴァンジ彫刻庭園美術館[静岡県]
静岡のヴァンジ彫刻庭園美術館へ。もの派の菅木志雄展を見る。ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館や広島市現代美術館など、過去の再制作をいろいろ含むが、館の内外の空間を活用し、この場所のためにつくられたかと感じるくらい、うまく作品化している。ものの幾何学的なルールは、建築のデザイン手法にも通じ、興味深い。
2015/03/13(金)(五十嵐太郎)
JIA東北住宅大賞2014 第2次審査《水平線に沈む屋根》
会期:2015/03/09~2015/03/11
[宮城県]
最後の9番目は、手島浩之+千葉託巳による《水平線に沈む屋根》へ。仙台市の住宅地で、保安林に面した傾斜地という条件を生かす。一度、スロープで降りて、斜めの角度で玄関に入り、そこから上にのぼって眺めを楽しむガラス張りのリビング・ダイニングへ。断面・平面ともにひねった手島さんらしいデザインである。
2015/03/11(水)(五十嵐太郎)
JIA東北住宅大賞2014 第2次審査《名取の家》
会期:2015/03/09~2015/03/11
[宮城県]
名取に移動し、佐々木文彦による《名取の家》へ。3.11で被害を受けたRC造の住宅の建替えだが、鶴岡の土蔵と、やはり3.11の被害で公費解体が決まっていた宮城の古民家を救出し、ダブルで移築再生するアクロバティックなプロジェクトだ。大胆な屋根裏の構造を見せつつ、施主の集めた建具も散りばめる。結果的に、これが大賞に選ばれた。
2015/03/11(水)(五十嵐太郎)
JIA東北住宅大賞2014 第2次審査《牡鹿半島のための地域再生最小限住宅 板倉の家/コアハウス》
会期:2015/03/09~2015/03/11
[宮城県]
三日目は、青森ー仙台ー牡鹿半島と移動し、玉井洋一、アトリエ・ワン、アーキエイドらの《板倉の家》へ。以前、外観だけは見たが、今回は塚本由晴の案内で内部も入る。漁業の生活を調査し、それをコンパクトな空間にまとめつつ、板倉の構法を組み合わせる。内部はモダンながら、懐かしい空間だ。
2015/03/11(水)(五十嵐太郎)