artscapeレビュー
建築に関するレビュー/プレビュー
《国父記念館》
[台湾台北市]
《国父記念館》(1972)は、孫文を顕彰する建築で、やはり巨大な像が鎮座し、その手前で護衛が直立不動する。反り上がった伝統的屋根の正面をさらにめくり、孫文の像に街の発展を見せる。巨大デザインは大雑把だが、庶民的な場で、休日に多くの人々が思い思いになごみ、使い倒す風景は好感がもてる。
2015/03/15(日)(五十嵐太郎)
松山文創園区
[台湾台北市]
《台北総督府専売局松山煙草工場》(1937頃)の一帯を運動場や文化センターに再開発する松山文創園区へ。巨大なドーム建築の工事中で、その奥に工場をリノベーションしつつ、KIITOのようなデザインセンターをつくり、伊東豊雄による松山台北文創ビルを新築し、廣村正彰もグラフィックで関わる。このエリアは、デザインミュージアムも完備している。昔の工場群の一角にやたらと、かわいい書店+カフェがあり、これは一体なんだと思ったら、当時ここは労働者の福利厚生にも力を入れており、託児室だった建築をうまくリノベーションしたものだった。こういうテイストは新築だとできないものだろう。
写真:上=《台北総督府専売局松山煙草工場》 中=《台北文創ビル》 下=《旧託児室》
2015/03/15(日)(五十嵐太郎)
《BELLAVITA》
[台湾台北市]
「大富豪が娘にプレゼントしたというデパート」の紹介に興味をもち、東側の《BELLAVITA》へ。なるほど、楕円の吹抜けを囲みながら、西洋の古典主義をベースにしたショッピング空間で、ヴォリュームをおさえて、ハイ・ブランドのお店ばかりである。ただ、古典主義の意匠が甘く、プロポーションも悪い。
2015/03/15(日)(五十嵐太郎)
台北世界貿易センター広場
[台湾台北市]
台北世界貿易センター広場の伊東豊雄による外構とランドスケープ・デザインを訪れる。自然をモチーフに幾何学的なルールでドライブさせたものだ。高層ビルの上から見下ろすと、牡丹などのシンボリックなアイコンにも見え、地上だと渦巻きの体験を強く感じる。ここに面する国貿ビルの庇も、伊東が手がけた。
写真:上=台北世界貿易センター広場 下=《国際貿易ビル》庇
2015/03/15(日)(五十嵐太郎)
《中正紀念堂》
[台湾台北市]
《中正紀念堂》(1980)のエリアへ。牌楼をくぐると、伝統的な造形の《国家戯劇院》と《国家音楽庁》をシンメトリーの軸を挟んで対面させ、その奥に蒋介石を顕彰するメガロマニアックな建築だ。中国やバロックの方法である。ときに国家権力のモニュメントは、機能を超えて大きいことそのものが要請されるが、その典型だろう。
写真:上=《中正紀念堂》 下=《国家戯劇院》《国家音楽庁》
2015/03/15(日)(五十嵐太郎)