artscapeレビュー

建築に関するレビュー/プレビュー

《北海道立三岸好太郎美術館》(1967)

[北海道]

札幌出身の三岸好太郎の美術館が、道立近代美術館のすぐ近くにある。あの有名な貝殻のモチーフは、画家が31歳で亡くなる死の直前だったものと知る。ゆえに、バウハウス帰りの山脇巌に依頼したモダニズム建築のアトリエも完成を見ることがなかった。竣工してすぐ、ここで彼の遺作展が開催されている。「絵からとびだしておいで!」展は、おばけのマ~ルと美術館のコラボ企画だが、美術の場を再解釈する面白い試みだった。

2013/09/01(日)(五十嵐太郎)

太田實+北海道立美術館設計共同企業体《北海道立近代美術館》(1977)

[北海道札幌市]

《北海道立近代美術館》を訪れる。ギーディオンの主著『空間・時間・建築』を訳した太田實らが設計したものだ。明快なシンメトリーの軸があり、両サイドが斜めに伸び上がる、強烈な形と形式性から、70年代の懐かしい香りがする建築だ。「パスキンの生きた時代」展は、エコール・ド・パリをにぎわせた画家を取り上げ、放浪の後、人物像のやわらかい色彩に至る軌跡を紹介し、「ふれるかたち」展は、彫刻を触っていい企画だった。

2013/09/01(日)(五十嵐太郎)

《札幌大通地下ギャラリー 500m美術館》(2011)

[北海道]

《札幌大通地下ギャラリー 500m美術館》を見学した。2つの駅をつなぐ通路の片側がずっと展示場になっている。東京の行幸地下ギャラリーの方が空間はキレイだが、500m美術館の方が企画の独自性が強い。そして圧倒的な長さが壮快である。開催中の「旅するアート」展は、丹羽良徳の映像作品を含む、9組の作家を紹介していた。まちなかの空間をいかに使うかを探る、2014年の札幌ビエンナーレへの布石と言える場所だろう。

2013/09/01(日)(五十嵐太郎)

アートピクニック vol.3 マイホーム ユアホーム

会期:2013/08/31~2013/10/06

芦屋市立美術博物館[兵庫県]

わが家、住宅、家族、国、故郷など、さまざまな意味を内包する単語「ホーム」をテーマに、8組の作家を紹介した本展。さまざまな職業に扮したコスプレ家族写真で知られる浅田政志、取り壊される建物の記憶を建築部材によるウクレレで継承する伊達伸明など、どの作品もユニークかつ親しみやすいものであった。現代美術作家と美術教育を受けていない作家を同列に展示しているのも本展の特徴で、小幡正雄の段ボール絵画や高知県の沢田マンションの記録が美術家の作品と共演していた。そこには美術か否かよりもいまのわれわれにとって切実なことを優先する姿勢が感じられる。学究的な企画だけでなく、このような等身大の現代美術展も大切にしたい。

2013/08/31(土)(小吹隆文)

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アトリエ・アンド・アイ+坂本一成研究室《egota house B》

[東京都]

竣工:2013年8月

坂本一成さんの《egota house B》のオープンハウスを訪れる。以前、平面を階ごとに縦・横の壁で交互に分割し、それをメゾネットでつなぎ、四方の見通しを確保するA棟(2004)も拝見したが、今回は同じ考えを踏襲しつつ、立体交差が増えたより複雑なパズルのように解き、開放的な空間を生む。

2013/08/31(土)(五十嵐太郎)