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建築に関するレビュー/プレビュー

猪苗代町体験交流館「学びいな」

[福島県]

公共建築賞の審査で猪苗代へ。青島裕之が設計した猪苗代町体験交流館「学びいな」を見学する。磐梯山、隣の施設、積雪、地域の屋根など、周辺環境とうまく呼応する、独特な屋根の形状がカッコいい。また内部にホールを抱えるが、事前のワークショップを通じて、住民が主体となって管理や運営にも関わる、愛される施設になっていた。

2013/12/06(金)(五十嵐太郎)

葵倶楽部

[愛知県]

『あいち建築ガイド』のインテリアのパートで紹介されている、葵倶楽部にて、食事会。築100年以上の古民家を改装したカフェ兼ギャラリーである。渡邊潤一が内装設計を手がけたもの。現代的なテイストを注入し、異なる時代の雰囲気が重層する空間だった。
http://aoiclub.exblog.jp

2013/12/04(水)(五十嵐太郎)

《旧井上房一郎邸》

[群馬県]

高崎市美術館にある、アントニン・レーモンドの自邸兼事務所を写し、彼のスタイルをとり入れた《旧井上房一郎邸》(1952)は素晴らしい。シンプルな構成で、半世紀を経てもなお瑞々しく、モダニズムと日本の木造建築の開放感を見事に融合している。ちなみに、この住宅は、別の方法によって和洋折衷を行なう中原淳一が精力的に活動したのと同時代だ。

2013/11/28(木)(五十嵐太郎)

水谷俊博+水谷玲子/水谷俊博建築設計事務所《アーツ前橋》

[群馬県前橋市]

竣工:2012年10月(開館:2013年10月)

アーツ前橋は、駅から歩いて行ける本当にまちなか美術館である。水谷俊博+玲子の設計により、百貨店をリノベーションしたもの。外観はアルミパンチングで包み、エスカレータを除去し、展示室に吹抜けを設けるほか、階段、スロープ、部屋同士を浸透させる小窓群で、地下も歩く楽しみと開放感を演出している。ちなみに、Perfumeの新曲PV「Sweet Refrain」はアーツ前橋で撮影されているが、外観などのわかりやすい部分ではなく、地階の展示室エリアを使っており、ちょっとすぐにはわかりにくい。

2013/11/28(木)(五十嵐太郎)

安藤忠雄《秋田県立美術館》

[秋田県]

安藤忠雄が設計した秋田県立美術館へ。お堀沿いの旧美術館と道路を挟んで向かいに建ち、三角形を基本モチーフとする。ほとんど開口のない正面から入ると、カーンを想起させる静謐な幾何学的空間が出迎える。2階に上ると、千秋公園を望む水庭が出現し、展示室に入ると、目の前に藤田嗣治の巨大絵画がどーんと広がる。
美術館では、平野政吉コレクションをベースに、主にパリではない時代の(マドレーヌと行動を共にした)藤田嗣治の作品を紹介し、1930年代に旅したブラジル、中国、そして秋田が題材になっていた。1階ロビーでは、藤田嗣治が描いた花と鳥、彼がパリで描いた壁画「花鳥図」の再現を展示している。

2013/11/27(水)(五十嵐太郎)