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建築に関するレビュー/プレビュー

クリスチャン・ケレツ展 Christian Kerez

会期:2013/07/19~2013/09/28

TOTOギャラリー・間[東京都]

ギャラリー間のクリスチャン・ケレツ展へ。いわゆる大がかりな空間のインスタレーションがない、正統派の建築展だが、それゆえに構造や構成をきちんと見せる模型を通じて、彼の新しい建築の考え方がダイナミックに伝わってくる。コンセプトの表現としての模型の力を存分に発揮していることに好感をもった。

2013/08/31(土)(五十嵐太郎)

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ダン・ペルジョヴスキ、ドローイング

愛知芸術文化センター 11階展望回廊[愛知県]

県議会議員があいちトリエンナーレの視察に訪れ、案内した。意外に長い時間をかけて見ていたのが、展望回廊のガラスに描かれたダン・ペルジョヴスキのドローイングである。なるほど、彼の作品は、社会や政治に対する皮肉を込めた言葉を読みとくことの面白さをもつからだろう。14日に一日の弾丸ツアーで、大村知事にあいちトリエンナーレの全会場を案内し、岡崎では内田市長・議員が合流したときも、政治家だけに、丹羽良徳さんの作品、マルクス195歳の誕生会と共産党へのインタビューに関心をもったことに通じる。
写真上:ペルジョヴスキのドローイング、下:丹羽良徳の作品

2013/08/26(月)(五十嵐太郎)

鉄川与助《今村カトリック教会》(1913)

[福岡県]

久留米の隣町、《今村カトリック教会》が素晴らしい建築だった。前々から大工の鉄川与助の手がけた教会を見たいと思っていたが、初めて実現した。田園風景のなかで想像以上に大きい教会がたっており、驚かされた。ちょうど100年前の竣工なのに、使い手に愛される宗教建築だからなのか、保存状態がよく、いまでも瑞々しい。デザインが巧いとか、そういうのではなく、気迫というか情熱を感じる建築である。

2013/08/23(金)(五十嵐太郎)

久留米の建築

[福岡県]

久留米へ。ここではホールや庁舎など、地元出身の菊竹清訓ほかの建築めぐりを行なう。また、ここを拠点に企業を発展させた石橋正二郎関係の近代建物がよく残り、さらに文化センターが市民にも親しまれていたことを知る。ちなみに、ヴェネツィア・ビエンナーレの日本館や国立近代美術館も、石橋氏の寄付によって建設されたものだ。こうしたアート関係の建築支援は、いまだとベネッセを思い出すが、これは国レベルの貢献だ。

写真上から、《石橋文化センター》、《久留米市庁舎》

2013/08/23(金)(五十嵐太郎)

あいちトリエンナーレ2013オープンアーキテクチャー

会期:2013/08/21

愛知産業大学 言語・情報教育センター[愛知県]

岡崎へ。スタジオ・ヴェロシティの愛知産業大学言語・情報共育センターにて、オープンアーキテクチャーが催された。建築家からは細かい設計のプロセスを、愛知産業大学学長・小川英明さんはこの施設の背景や、どう使うか、筆者はトリエンナーレとの関係を語る。オープンアーキテクチャーの企画でよかったのは、名古屋音楽大学のサクソフォーンアンサンブルが演奏したこと。参加者は椅子をもって内外を移動しながら、好きな場所に座る。その結果、愛知作業大学言語・情報共育センターの公園のような空間というコンセプトが明快にあらわれながら、参加者が音楽も楽しむことができた。
その後、シビコ屋上のスタジオ・ヴェロシティによる頭上に白い糸をはりめぐらせたインスタレーションに立ち寄る。時間帯によって全然体験が異なる作品だが、初めて夕方に訪れた。真白に塗られた屋上のあまりの反射光ゆえに、サングラスをかけても5分といられない真昼と違い、長時間の散策が可能だ。前日はビートたけしがNHKの番組収録で訪れ、ヴェロシティと対談し、この空間をいたく気に入ったという。

2013/08/21(水)(五十嵐太郎)

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