artscapeレビュー

建築に関するレビュー/プレビュー

《徳川美術館》(1935)

[愛知県]

7月下旬に刊行する『あいち建築ガイド』の校正中、疑問点があり、久しぶりに徳川美術館を訪問した。古い部分は公式にも「帝冠様式」と説明されているが、私立美術館で、意匠的にも全体的に和風を目指している建築を「帝冠様式」と括ってしまうのは、概念を拡張しすぎかもしれない。なぜなら、「帝冠」の「帝」は政治や公共施設にふさわしいし、「冠」であれば、もっとデザインのハイブリッド性が必要ではないかと思うからだ。

2013/06/22(土)(五十嵐太郎)

カタログ&ブックス│2013年6月

展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。

建築資料にみる東京オリンピック 1964年国立代々木競技場から2020年新国立競技場へ

発行日:2013年5月8日
発行・監修:文化庁
サイズ:B5判、40頁

2013年5月に東京都の湯島にオープンした国立近現代建築資料館の開館記念特別展示の図録。丹下健三設計の国立代々木競技場の図面、建設過程の写真をはじめ、ザハ・ハディドによる新国立競技場最優秀案のCGなどの展示内容を豊富な図版によって紹介。また、建築資料の役割、位置づけに関する文章を多数掲載。




螺旋海岸|album

著者:志賀理江子
デザイン:森大志郎
発行日:2013年3月1日
発行所:赤々舎
サイズ:257×364mm、280頁

2012年11月7日〜翌1月14日まで、せんだいメディアテークにて開催された同名の展覧会の内容がおさめられた写真集。展覧会に向けて10回にわたり開催された、志賀によるレクチャーがおさめられたテキスト集『螺旋海岸|notebook』も会期中に発売されている。


児玉房子作品展「東京 around1990」

著者:児玉房子
発行日:2013年5月8日
発行所:JCIIフォトサロン
サイズ:250×240mm、31頁

東京のJCIIフォトサロンにて2013年の5月8日〜6月2日にかけて開催された児玉房子の「東京 around 1990」の図録。1990年台前半、バブル崩壊寸前の終焉が色濃く写し出された東京の街並みや人々の営みを追い続けた作品群を紹介する。


石原正道写真集 叢 KUSAMURA

著者:石原正道
発行日:2013年5月10日
発行所:株式会社日本写真計画
サイズ:189×263mm、60頁

2013年5月、ペンタックスフォーラム ギャラリーⅠにて開催された、石原正道の展示「叢(KUSAMURA)」の写真集。普段見過してしまう身近な草に目を向け、叢と題し、立夏から立秋にかけて生い茂る夏草の繊細な魅力を、格調高くモノクロで表現した作品約50点を掲載。


アーキエイド活動年次報告2012 | ArchiAid Annual Report 2012

編集:アーキエイド事務局
発行日:2013年3月11日
発行所:一般財団法人アーキエイド
サイズ:A4判

アーキエイド事務局編集のもと、設立当初からの活動をまとめた昨年度のAnnual Report 2011に続く、2冊目の活動報告書。全ページPDFにてデータ公開中。
アーキエイド ウェブサイト

2013/06/17(月)(artscape編集部)

中村好文 展 小屋においでよ!

会期:2013/04/17~2013/06/22

TOTOギャラリー・間[東京都]

ギャラリー間の中村好文「小屋においでよ!」展を見る。彼が影響を受けた古今東西の7つの小屋を紹介する第一セクション、中庭に実際につくられた小屋、そして上階は彼が手がけた小屋、あるいは小屋的なものの実践によって構成されている。いわゆる前衛性や目立つ派手な造形はないが、本人が好きなことがストレートに出ており、好感がもてる内容だった。テレビでも紹介されていたせいか、普段と違う多くの客層も訪れていた。

2013/06/13(木)(五十嵐太郎)

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坂本一成住宅めぐり

会期:2013/05/17~2013/06/30

八王子市夢美術館[東京都]

町田から八王子市立夢美術館へ。こちらは地元の建築家でもある「坂本一成住宅めぐり」展を開催していた。大きく引きのばした建築写真のタペスリーを床から立ちあげ(実際には天井から吊るが)、これまでのほぼ全作品を紹介する。この特徴的な展示手法は、シンプルだが、住宅の内観だと、特に効果があり、空間に引き込まれるような没入の感覚をもたらす。また新作であるProject AOの1/3模型は、かなり精度が高いことに関心した。

2013/06/13(木)(五十嵐太郎)

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空想の建築 ─ピラネージから野又穣─

会期:2013/04/13~2013/06/16

町田市立国際版画美術館[東京都]

1990年代に開催されたピラネージ展以来、久しぶりに町田市立国際版画美術館へ。「空想の建築 ピラネージから野又穣へ」展は、アンビルドの建築と美術を架橋する企画だ。建築史系では、コロンナ、ビビエナ、ルドゥー、シンケル、エジプト誌、フェリスなどを楽しめる。シブいセレクションだ。アートからは、デマジエール、阿部浩、コイズミアヤ、野又穣など。この展覧会があまり建築界で知られていなかったのはもったいない。

2013/06/13(木)(五十嵐太郎)

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