artscapeレビュー
建築に関するレビュー/プレビュー
《KIITO(デザインクリエイティブセンター神戸)》
[兵庫県]
デザイン・クリエイティブセンター神戸のKIITOを見学する。生糸検査所として使われていた近代建築をリノベーションしたものだ。すでに建築、編集、デザインなどの事務所はいろいろ入っているが、全体の規模が大きいこともあり、まだ完全に施設をフル稼働という感じではない。ただ、天井が高いホールやギャラリーの空間はなかなか魅力的で、ポテンシャルをもった施設である。現代美術の大がかりな展示にも相性がよさそうだ。
2013/06/02(日)(五十嵐太郎)
《神戸港震災メモリアルパーク》(1997)
[兵庫県]
神戸の海沿いの近代建築を見つつ、メリケンパークの破壊された波止場をそのまま保存した神戸港震災メモリアルパークを訪れた。あの瞬間から時が止まったままの場所である。1995年に震災から2週間後にメリケンパークを訪れたことも思い出す。しかし、逆に言うと、これ以外にここで阪神・淡路大震災の記憶を見つけることができない。これは震災から2年半後の1997年7月完工の施設だから、東日本大震災ももうすぐその時期を迎える。
2013/06/02(日)(五十嵐太郎)
カリフォルニア・デザイン 1930-1965─モダン・リヴィングの起源─
会期:2013/03/20~2013/06/03
国立新美術館[東京都]
同じく国立新美の「カリフォルニア・デザイン 1930-1965─モダン・リヴィングの起源─」は、元気で幸福だったアメリカのミッドセンチュリーのデザインを紹介する。10年ほど前にブームが起きたイームズ夫妻はすでに有名だが、まだまだ知らない人がいっぱいいるものだ。建築、家具、写真、ファッション、工芸など、多分野を横断する楽しい展示である。ちらちら向こうが見える開放的な間仕切りは、中村竜治のデザインによるもの。
2013/05/19(日)(五十嵐太郎)
SSD オープンレクチャー 相馬千秋「演劇はなぜ、都市に出るのか?─都市のドラマトゥルギーを引き出す、演劇的想像力の可能性」
会期:2013/05/16
東北大学片平キャンパス都市建築学専攻仮設校舎ギャラリートンチク[宮城県]
今期、せんだいスクール・オブ・デザインのメディア軸は、「演劇/ライブから考える」と題して雑誌制作を行なう。第一回のゲストの相馬千秋は、劇場を飛びだし、都市のドラマトゥルギーを引き出す事例を紹介した。池袋の芸術劇場の前で行なわれたフラッシュ・モブ、フェスティバル・トーキョーにおいて新橋と福島をつなぐ高山明の「光のないII」、移動するトラックが客席となって都市を体験する試みなど、演劇の可能性を開く挑戦だ。
2013/05/16(木)(五十嵐太郎)
NHKクローズアップ現代「1000年後の命を守るために~どう伝える 震災の教訓~」
NHKの番組「クローズアップ現代」の震災遺構を考える回に出演した。事前に僕の話は取材されているのだが、直前にスタッフと再度打ち合わせを行ない、その場で会話の構成を決めていく。個人的に、東日本大震災から3週間後の女川訪問は忘れ難い。いまは3つの被災建物以外ほとんど消えたが、当時はこれを見つけるのに、30分以上廃墟の街を歩かないとわからないほど、ぐちゃぐちゃの風景だった。が、これに遭遇したとき初めて震災遺構を残すべきであり、ここで見たことを後世に伝える使命を感じたことを思い出す。
2013/05/15(水)(五十嵐太郎)