artscapeレビュー

建築に関するレビュー/プレビュー

あいちトリエンナーレ2013 ダン・ペルジョヴスキ作品制作

愛知芸術文化センター 11F 展開回廊[愛知県]

同じくトリエンナーレの出展作家としては、愛知芸術文化センターの11階、L字の展望回廊では、ルーマニアの作家、ダン・ペルジョヴスキがガラスにドローイングを描き、作品が完成した。政治や社会的なメッセージを含む、わざわざ翻訳する必要がないシンプルな言葉遊びや絵が、名古屋の街の風景と混ざりあう。これまでに描いた絵もあるが、日本版の絵も幾つか。例えば、「FUKUSHIMA」→「FUKU・SHAME」などである。

2013/05/06(月)(五十嵐太郎)

あいちトリエンナーレ2013 宮本佳明「N-shadow(仮称)」制作

愛知芸術文化センター[愛知県]

福島第一原発のヴォリュームを愛知芸術文化センターに仮想的に転送し(実は等スケールですっぽり入る)、空間の内部に重ね合わせる宮本佳明のプロジェクトがすでに動きだしており、少しだけ見ることができた。建物の各階のあちこちに、原発の壁や炉心を示すラインが散りばめられ、頭の中で統合すると、普段は近づくことも、触ることもできない福島原発の大きさがイメージできる。またこれは都心に原発を置くことも想像させるだろう。

2013/05/06(月)(五十嵐太郎)

SANDWICH

[京都府]

京都へ。アシスタント・キュレーターの堀江さんとともに、あいちトリエンナーレ2013に参加する名和晃平の拠点、工場をリノベーションしたSANDWICHを訪問する。昨年から実験を繰り返したサイトスペシフィックな名和ワールド作品の方針が決まり、制作進行も確認した。そして今回のための実験装置を見せていただく。もともと名和は、理系的なアーティストだが、これはなるほど理科の教室、あるいは夏休みの自由研究のようだ。

2013/05/05(日)(五十嵐太郎)

愛知産業大学 言語・情報共育センター

[愛知県]

studio velocityが手がけた愛知産業大学 言語・情報共育センターを見学する。薄くて白い天井をはりめぐらせ、スチレンボードの模型がそのまま建築になったようだ。大学の校舎に囲まれた立地環境は、彼が所属していた石上純也のKAIT工房と似ているが、現地を訪れると、地面が大きく傾斜し、それに合わせて屋根も一定に傾き、それが大きな違いをもたらしている。晴れの日には、室内と中庭が一体化し、気持ちがいい場を提供していた。

2013/05/04(土)(五十嵐太郎)

あいちトリエンナーレ2013 現代美術作品第1号「昭和時代階段」

会期:2013/04/27~2013/05/10

伏見地下街とその地上出入口(名古屋市中区内)[愛知県]

あいちトリエンナーレ2013の最初のプロジェクト、打開連合設計事務所による伏見地下街のリノベーションを研究室で手伝う。東北大の五十嵐研からは11名が参加した。彼らが得意とするブループリントのシリーズで使う手法、すなわち青く塗り、稜線に沿って白いラインを引いていく作品である。またこの地下街が誕生した昭和時代をテーマに掲げている。制作途中からテレビや新聞など、各種のメディアが紹介していたように、実際、フォトジェニックな作品であり、見る角度によって透視図法が像を結び、実空間に異空間が重なるため、さらに視点を移動しながら見ると面白い。また夜にはキュレーターや長者町のスタッフらが、制作ボランティアに食事をふるまい、苦労をねぎらう。リノベーション・プロジェクトは、ほぼ完成し、すでに見ることができる状態になっているが、あいちトリエンナーレが始まる8月まで隠される秘密の部屋もある。また、オープニングの直前絵が少し追加されるという。なお、鑑賞は夜に青く光る出入口の状態もおすすめである。

2013/05/03(金)(五十嵐太郎)