artscapeレビュー

建築に関するレビュー/プレビュー

3人のクライアントと3人の建築家─暮らしの時間、家の時間─

会期:2013/07/01~2013/07/13

SHIBAURA HOUSE 2F[東京都]

シバウラハウスにて、オランダの建築ライターのカテライネ・ノイシンクが彼女の新刊『HOW TO MAKE A JAPANESE HOUSE』と連動して企画した展覧会「3人のクライアントと3人の建築家ー暮らしの時間、家の時間」を見る。模型、図面、映像などを使い、中山英之、長谷川豪、TNAが手がけた住宅と施主の関係が紹介されていた。中山の展示手法は相変わらずキレがある。TNAによるキリの家の施主が制作した映像もなかなかだった。

上:SHIBAURA HOUSE
中上:中山英之
中下:長谷川豪
下:TNA

2013/07/13(土)(五十嵐太郎)

飛鳥山公園、音無親水公園

[東京都]

王子の飛鳥山公園には、3つの博物館が並んでいる。また渋沢栄一の青淵文庫は小さいながら、なかなか存在感がある近代建築だ。そして音無親水公園は、小さな水車などを組み込み、ちょっとテーマパーク的な昔風の演出によって、「美しい」空間づくりを行なう。一応、表彰もされているみたいだが、歴史を尊重したというよりは、何か別のモノになっている。拙著『美しい都市・醜い都市』で論じたように、大きな疑問を感じる景観だ。

上:《青淵文庫》
下:《音無親水公園》

2013/07/06(土)(五十嵐太郎)

トリエンナーレスクール2013年度 藤村龍至「列島改造論2.0とナゴヤ・ソーシャルプローブ・プロジェクト構想」

会期:2013/06/29

名古屋市美術館 2階 講堂[愛知県]

名古屋市美術館のトリエンナーレ・スクールにて、藤村龍至がレクチャーを行なう。前半は列島改造論2.0で、会場の美術館を設計した黒川紀章も、若かりしころはこんな感じだったのかと思う。後半はデザインの底上げを行なうワークショップ形式の展開について。履歴をつけて、改良を重ねる方法論は、超線形→CITY2.0→鶴ヶ島という一連の進化そのものとも重なりあう。また超線形プロセス論では、設計者サイドの底上げを行なっていた藤村が、最近のプロジェクトでは、ユーザー、すなわち一般市民側の底上げも試みていたことがよくわかる。またトリエンナーレで行なう、あいちプロジェクトが披露され、道州制や中京都の構想を踏まえ、現在の県庁と市庁舎を博物館に変え、その向い側にそれぞれの新しい庁舎をつくる計画を期間中、来場者や学生を巻き込みながら、進めていく。

2013/06/29(土)(五十嵐太郎)

《松坂屋》

[東京都]

いったん営業終了となる銀座の松坂屋を訪れた。戦後のデザインは、アントニン・レーモンドが関わっていたが、建物の背後など、一部にまだ少しその名残がある。館内には、百貨店の歴史展示や、昔ここで開催した美術展のカタログを紹介するコーナーも設けられていたが、セールで大勢がごった返す状況において誰も気にしていない。これは残念だ。また松坂屋の裏側も歩いてみると、人知れず、けっこう良質の渋ビルが幾つか発見できる。

2013/06/23(日)(五十嵐太郎)

成瀬・猪熊建築設計事務所《LT城西》(2013)

[愛知県]

成瀬・猪熊建築設計事務所が名古屋でオープンハウスをやっており、訪問した。考えてみると、リノベーションではなく、新築のシェアハウスという物件は、意外にあまり見たことがない。集合住宅とは違い、13人が共同して暮らす大きな家という感じだった。コストを抑えるために、木造の合理的なグリッドの柱割だが、各部屋にも天井高や眺めなどの違いを与えており、また明るく開放的な共有スペースと個室のメリハリが効いている。

2013/06/22(土)(五十嵐太郎)