artscapeレビュー
建築に関するレビュー/プレビュー
栗原健太郎+岩月美穂 / studio velocity 「植物の生態系が環境によって形をかえるように建築をつくる」展
会期:2012/07/21~2012/08/05
愛知淑徳大学 長久手キャンパス8号棟5階プレゼンテーションルーム[愛知県]
愛知淑徳大学の授業プログラムで、スタジオ・ヴェロシティの展覧会が開催され、オープニングトークに出席した。展覧会は、模型やパネル、インスタレーションを駆使し、想像以上に、大がかりな個展である。通常はギャラリー間の巡回展というかたちをとるが、今回は初めて作家とともに展覧会をつくることになり、結果的に良い教育になっている。
2012/07/22(日)(五十嵐太郎)
カタログ&ブックス│2012年7月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
サーキュレーション──日付、場所、行為
1971年、パリ。世界各国から若い芸術家たちが参加したビエンナーレを舞台に、中平卓馬は「表現とは何か」を問う実験的なプロジェクトを敢行する。「日付」と「場所」に限定された現実を無差別に記録し、ただちに再びそれを現実へと「循環」させるその試みは、自身の写真の方法論を初めて具現化するものだった。[オシリスサイトより]
沖縄写真家シリーズ 琉球烈像 第8巻 中平卓馬写真集 沖縄・奄美・吐力喇1974-1978
沖縄とヤマトが出会い重なりあう不可視の境界を求めて南を目指した写真家が見たものは、無際限にやさしく、しかしその静けさをもって彼を突き放す孤立した島々だった。1977年の記憶喪失に至る病をはさみ、涯てなき地平・暗闇への志向が陽光をあびる表層への眼差しに変化してゆく作品群を収録。未発表作多数含む104点(カラー74点)。[未來社サイトより]
石巻 VOICE vol.2 CULTURE
石巻には素晴らしい文化とそれに携わる魅力的な人達がいます。そんな石巻文化に関わる人たちが本誌にはたくさん登場します。表紙は「軍鶏」などを代表作にもつ石巻出身の漫画家・たなか亜希夫氏の生原稿の写真。氏の実家において津波により水をかぶってしまった時の写真です。[ISHINOMAKI 2.0サイトより]
写真集狂アラーキー
IZU PHOTO MUSEUMで2012年春に開催された「荒木経惟写真集展 アラーキー」の展覧会カタログ。本書では1970年に制作された幻の写真集「ゼロックス写真帖」から2012年5月までに出版された全書籍情報(「荒木経惟全著作1970─2012」、カラー表紙画像付き)を収録し、デビュー以前の電通勤務時代に制作された写真集の原型ともいえるスクラップブック(4冊)を紹介しています。さらに、東日本大震災への応答である渾身の新作《’11 3・11》(63点)に加え、24名の寄稿者によるエッセイ、論考を収録。[NOHARAサイトより]
文藝別冊 [総特集]いしいひさいち 仁義なきお笑い
デビュー40周年記念いしいひさいち大特集。本人書き下ろし「でっちあげインタビュー」、しりあがり寿、吉田戦車、宮部みゆきらの寄稿、大友克洋インタビューのほか、貴重な資料満載。[河出書房新社サイトより]
アートプロジェクト運営ガイドライン
帆足亜紀がコーディネーターとなった連続ゼミ「プロジェクト運営 ぐるっと360度」で、ゲストに招いた関係者の意見を取り入れながら作成したアートプロジェクトの運営ガイドライン。アートプロジェクトを「実施する」一連のプロセスのポイントをチェックできる。コーディネーター、ゲストによるその活用に関する考え方を示したエッセイも収録。東京文化発信プロジェクトのサイトからダウンロード可能。
http://www.tarl.jp/cat_output/cat_output_plan/1301.html
2012/07/17(火)(artscape編集部)
スタジオ・ムンバイ展 PRAXIS
会期:2012/07/12~2012/09/22
TOTOギャラリー・間[東京都]
ギャラリー間のスタジオ・ムンバイ展を見る。会場は、一昨年のヴェネチアビエンナーレ国際建築展をきっかけに注目されて以来、あっとういう間に人気者になったことを示す、大入り満員だった。じっくり見ると、相当時間のかかる密度のある展示だ。が、ヴェネチア・ビエンナーレ、都現美と、おおむね同じ展示手法なので、個人的にはやや新鮮味に欠ける。ひとつのプロジェクトだけに絞るとか、ほかの見せ方はなかったのだろうか。
2012/07/14(土)(五十嵐太郎)
被災地調査(気仙沼市、石巻市雄勝町、石巻市牡鹿半島、牡鹿郡女川町)
[宮城県]
あいちトリエンナーレ2013に参加するイギリスのアーティスト、ブラストセオリーのリサーチで、気仙沼、南三陸町などの被災地をめぐる。雄勝と牡鹿半島では、浜の漁師にインタビューを行なう。これがどのように来年の作品につながるのかが、楽しみである。個人的には、3月はまだ残っていたのに、女川のマリンパルが消えていたことにショックを受けた。ここではほとんどの瓦礫が消え、もはや保存される倒壊ビルしか残っていない。
翌日もブラストセオリーのリサーチで、NHK仙台にてディレクターへのインタビューに立会う。震災直後の閖上取材のときの映像を見せてもらったが、筆者が3月下旬にまわったときとほぼ同じ風景だった。むろん、そのときにはかろうじてクルマが走ることができる道路ができ、被災者は別の場所に移動していなくなっていたが、遺体捜索を優先し、瓦礫を片付けていなかったからだろう。改めて重要な状態を見たのだと気づく。
写真:上から、雄勝、気仙沼、牡鹿・富貴浦
2012/07/12(木)・13(金)(五十嵐太郎)
SSD 2012年度春学期 Interactiveレクチャー「境界線上のインテリアデザイン」♯3│SSDハウスレクチャー「最近のインテリアデザインについて」浅子佳英
会期:2012/07/11
阿部仁史アトリエ[宮城県]
今期、せんだいスクール・オブ・デザインのインタラクティブ・レクチャーの枠は、インテリアデザインをテーマに掲げ、その締めくくりとして浅子佳英を迎えた。コムデギャルソンによる店舗デザインの議論は、アーキテクチャ派というべき、いかにもゼロ年代らしい論客の分析装置を使いながら、むしろ突出した「天才」を語るのが興味深い。
2012/07/11(水)(五十嵐太郎)