artscapeレビュー

建築に関するレビュー/プレビュー

博物館明治村、《プロソリサーチセンター》、《善光寺別院願王寺》

会期:2012/09/15

[愛知県]

建築学会の大会にあわせて、五十嵐研のゼミ旅行を実施した。初日は博物館明治村、細い木のフレームが集積した隈研吾のプロソリサーチセンター、そして山崎泰孝の善光寺別院願王寺をまわる。古いお寺の屋根をはぎとり、上部を切断し、鉄骨造の大屋根、あるいは45度傾いた巨大な直方体の内部にそれを鞘堂形式で包む。古い木材と鉄骨のフレームが同時存在し、新旧が激突するすさまじい空間だ。住職からも設計の経緯について興味深い話をうかがう。夜は宿で、恒例となっている研究室コンペを行なう。今回のテーマは五十嵐研のロゴであり、学生が自ら審査員となり、プレゼンと質疑応答を経て、伊藤幹が最優秀を勝ちとる。

2012/09/15(土)(五十嵐太郎)

2012年度日本建築学会大会(東海)建築デザイン発表会「復興拠点としての『みんなの家』」

会期:2012/09/13

名古屋大学[愛知県]

名古屋大学で開催された日本建築学会の建築デザインのセッション「復興拠点としての『みんなの家』」において、伊東豊雄を招待講評者に迎え、仮設のプロジェクトや村上晶子の設計した教会などの出品作をめぐって討議が行われた。五十嵐研からは、吉川彰布と村越怜が担当した南相馬の塔と壁画のある仮設集会所を出品した。最後は古谷誠章からの問題提起を受け、かたちを見せるデザインでよいか、それとも控えめな小屋にすべきかが議論となり、学生も交え、3.11以後のデザインの意味を改めて討議することになった。

2012/09/13(木)(五十嵐太郎)

竹内昌義×五十嵐太郎トークイベント「都市と原発──僕たちは何を設計できるのか。再生可能エネルギーの未来、新しい時代の建築を考える」

会期:2012/09/11

青山ブックセンター・本店[東京都]

みかんぐみの竹内昌義と『原発と建築家』(学芸出版社、2012)をめぐってトークを行なう。東日本大震災の後、建築家は仮設住宅や復興計画に参加できても、その全容が見えない、あるいは近づけないため、原発問題に関わりを持ちにくいのだが、エネルギーという切り口から未来をポジティブに考えようとするものだ。その姿勢は、震災前に出した竹内の『未来の住宅 カーボンニュートラルの住宅』(バジリコ、2009)から完全に連続しており、一貫してロジカルに環境ベースに新しい建築の可能性を探索している。

2012/09/11(火)(五十嵐太郎)

建築学概論

帰りの機内、韓国で大ヒットした映画『建築学概論』を見ることができた。建築学生の初恋から10年。彼がつとめる事務所にその女性が再び訪れ、家の設計を依頼し、物語が始まる。現在と過去が交互に進行し、それぞれのエンディングを迎える平行した時間の構造は韓国で話題になった『サニー 永遠の仲間たち』と似ている。それにしても韓国は建築家を主人公とする映画やドラマが多い。自由に恋愛できるロマンティックな職業と思われているのだろうか。

2012/09/06(木)(五十嵐太郎)

ドバイ

[アラブ首長国連邦・ドバイ]

ストップオーバーでドバイに滞在する。すごい湿度と気温だった。ホテルを出た瞬間、カメラと眼鏡が曇る。これでは優雅にまち歩きの気持ちにならない。空調の効いたメトロに乗って、ずっと車窓から眺めていると、ポストモダンやアイコン高層ビル、超巨大ショッピングモール、反復する郊外住宅、そしてモスクのミナレットが点在する砂漠の風景が続く。これまで訪れたなかではラスベガス、香港、シンガポールなどの人工都市が近い。
ドバイの旧市街にあるスークもまわったが、あちこちで駅と近接するテーマ型の巨大ショッピングモールが見ものだ。人工の室内スキー場や大きなアクリルの面をもつ水族館が併設されている。インテリアやディスプレイのデザインも本格的で、日本と比べてもあまり遜色がない。こちらルイヴィトンのショーウィンドーにも、いま草間彌生の作品が入っている。そして外装はそれぞれ青木淳や乾久美子のスタイルを下敷きに展開していた。

写真:上から、ドバイのビル群、ドバイモールの水族館、モール・オブ・ジ・エミレーツのルイ・ヴィトン

2012/09/04(火)・05(水)(五十嵐太郎)