artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
代官山インスタレーション2011
会期:2011/10/09~2011/10/30
代官山界隈[東京都]
今年で7回目を迎えた野外インスタレーションのコンペ。前回までとなにか違いがあるとすれば、審査員のひとり中原佑介さんが亡くなり、代わりに北川フラムさんが加わったこと。もともと北川さんは主催者側の人間だから、この変更によって審査の方向性が変わることは考えにくい。でも今回は、毎回ひとつはあった思わずうなってしまう奇抜なプラン、思わず笑ってしまうおバカな作品が影をひそめたように感じるのは気のせいか、それともナンセンスをこよなく愛した中原先生が抜けたせいか。ちょっとおバカだったのは、河地貢士の《まんが農業》。分厚いマンガ雑誌の印象深かったページに野菜の苗を植え、水をまいて育てるというプランだが、残念ながらサイトスペシフィックではない。平賀俊孝×佐々木尚之の《象徴的生活感》とZEMIの《ヒルサイドFM》は、どちらも街なかにブースを設け、ガラス張りのなかで人が活動するというプラン。これは新しい傾向かもしれない。一方、ヒルサイドテラスの裏にある屋敷を際立たせるため、駐車場に四角い大きな枠(額縁)を設けた松本明子+鈴木将記の《A邸~都市の記憶~》は、プランの段階では感心したものの実際にはそれほど効果的でなかったのが惜しい。さて、いま挙げた四つのプランはどれも四角を基本としていることに気づいた。四角いマンガ雑誌、四角いガラス窓、四角い枠……。そう思って残りの作品を見直してみると、やはり四角(ボックス、道しるべ)もしくは円(ボール、自転車)を基本としていることが判明。単なる偶然だろうけど、この幾何学偏重は興味深い。
2011/10/14(金)(村田真)
小野耕石「削柱移植」

会期:2011/10/07~2011/10/23
アートフロントギャラリー[東京都]
セミの抜け殻や鹿の頭蓋骨の表面に、さまざまな色が層になった突起が無数についている。なんかキモイなあ。この色の層、実は版画の技法でつくったものだという。直径数ミリのドットを同じ版で同じ場所に色を変えながら100回くらい刷って積み上げた柱なのだ。この色の柱を削り取って別の物体に移植したのが、今回の「削柱移植」シリーズ。なんて妙なことをするアーティストだろう。だれも真似をしないだろうし、真似したくてもできないという意味ではきわめてオリジナリティが高い作品だ。それにしてもなんでセミの抜け殻や動物の頭蓋骨なの? どちらも生命が宿っていた抜け殻だが、そこに色の柱を立てることにどんな意味があるの? ナゾは深まるばかりだ。
2011/10/14(金)(村田真)
内在の風景

会期:2011/09/17~2011/11/27
小山市立車屋美術館[栃木県]
日豪8人によるグループ展。照明の効いた館内のほか、照明のない土蔵や、敷地内に隣接する登録有形文化財の「小川家住宅」の屋内にも作品が展示された。なかでも際立っていたのは、サンフランシスコ・ジャイアンツのホームスタジアムを廃墟として描いた元田久治のリトグラフと、白い壁面に白い砂糖で植物を描いた佐々木愛。いずれも想像的な風景を描いた作品だが、廃墟を克明かつ現実的に描いた版画と、白い支持体に白いメディウムで描いた茫漠とした壁画という点で、それぞれ好対照だった。和洋折衷の様式美を堪能できる小川家の建築もおもしろい。
2011/10/14(金)(福住廉)
プレビュー:FANATIC MONOCHROME

会期:2011/10/17~2011/11/05
「絵画」「写真」「映像」などの「基軸的な色彩構成及び表現」として続いてきた「白と黒=光と影」のモノクロームの美術表現にスポットを当てる。美術史におけるモノクローム表現を再考しようというもので、今展では、グラフィック、ペン画、水彩画 、書、墨画、版画、写真という7つの表現領域から「2000年代以降」を考える。出展作家は、川上俊、廣川恵乙、野嶋革、宮本佳美、宮村弦、横山隆平、吉田翔。11月5日には出品作家5名によるギャラリートークも開催される。
2011/10/14(金)(酒井千穂)
プレビュー:ULTRA AWARD 2011 EXHIBITION

会期:2011/10/08~2011/10/23
世界で活躍できる〈次代のウルトラアーティストを発掘、育成する〉という京都造形芸術大学・ウルトラファクトリー主催の、在学生、卒業修了生を対象にしたコンペティション「ULTRA AWARD」。今回は大島真悟、神馬啓佑、高井裕、土井祐介、王婷瑩の5名が選出された。7月からの約4カ月間の公開製作期間を経てそれぞれ最新作を発表する。また、浅田彰、長谷川祐子、後藤繁雄、ヤノベケンジ、椿昇、名和晃平という審査員により、展覧会場での公開審査会で最優秀賞が決定。注目を集めそうだ。
2011/10/14(金)(酒井千穂)


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