artscapeレビュー
小野耕石「削柱移植」
2011年11月15日号
会期:2011/10/07~2011/10/23
アートフロントギャラリー[東京都]
セミの抜け殻や鹿の頭蓋骨の表面に、さまざまな色が層になった突起が無数についている。なんかキモイなあ。この色の層、実は版画の技法でつくったものだという。直径数ミリのドットを同じ版で同じ場所に色を変えながら100回くらい刷って積み上げた柱なのだ。この色の柱を削り取って別の物体に移植したのが、今回の「削柱移植」シリーズ。なんて妙なことをするアーティストだろう。だれも真似をしないだろうし、真似したくてもできないという意味ではきわめてオリジナリティが高い作品だ。それにしてもなんでセミの抜け殻や動物の頭蓋骨なの? どちらも生命が宿っていた抜け殻だが、そこに色の柱を立てることにどんな意味があるの? ナゾは深まるばかりだ。
2011/10/14(金)(村田真)