artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
レンバッハハウス美術館所蔵:カンディンスキーと青騎士

会期:2011/04/26~2011/06/26
兵庫県立美術館[兵庫県]
カンディンスキーの伴侶であった画家ガブリエーレ・ミュンター旧蔵の作品を中心に、ミュンヘン市立レンバッハハウス美術館の青騎士コレクションを紹介する展覧会。会場では「青騎士」の活動を概観しながら写実から抽象へと向かうカンディンスキーの作風の変遷を知ることができる。当時の写真資料を含めて約60点と展示数は多くはないが、同時代に展開したその他の芸術運動や芸術理念との違い、カンディンスキーの人となりなどがあちらこちらにうかがえて興味深い。特に新たな表現展開の契機となる1908年頃からの風景の習作には、果敢な実験精神の横溢が表われていて、その筆致や色彩の力強さに惹き付けられる。
2011/04/26(火)(酒井千穂)
アール・ブリュット・ジャポネ展

会期:2011/04/09~2011/05/15
埼玉県立近代美術館[埼玉県]
昨年、パリのアル・サン・ピエール美術館で開催されたアール・ブリュット展の日本凱旋展。障害の有無にかかわらず、美術教育を受けていないことを基準にして選出された国内のアーティスト63人が参加した。ほとんどの作品に共通しているのは、アール・ブリュットやアウトサイダーアートと呼ばれる美術表現の多くがそうであるように、ひじょうに明快な独自のルールにしたがって物質を造形している点だ。たとえば平岡伸太は小学生用の国語プリントに設けられた解答欄に似顔絵と芸能人の名前を書き込んでいるが、そこに駄洒落のような言語ゲームが働いていることは一目瞭然である。「深田恭子さん」からは「深津絵里さん」が、「唐沢寿明くん」からは「桜井和寿くん」が、それぞれ連想されているが、おもしろいのはこの言語ゲームがしだいに複雑に展開していくことだ。「太平洋」から「勝野洋くん」が引き出されるのはまだしも、「畑野浩子さん」から「野菜」が、そして「日本一」から「藤本美貴」が連なっているのを見ると、高度に発展したルールに驚きを禁じえない。けれども、ルールを自分で作り上げ、その妥当性を世に問うことは、アール・ブリュットの特質というより、むしろあらゆる芸術的行為に通底する原型なのではないか。
2011/04/26(火)(福住廉)
カンディンスキーと青騎士

会期:2011/04/26~2011/06/26
兵庫県立美術館[兵庫県]
青騎士やドイツ表現主義について、僅かばかりの知識は持っていたが、実物を見る機会はあまりなかった。今回、それらを大量に、かつコンディションの良い状態で見られたのは収穫だった。あの色彩感覚は、当時の人にはさぞ強烈な体験だっただろう。また、カンディンスキーの前半期の作風の変遷も見応えがあった。カンディンスキーとミュンターの関係や、2人を引き裂いた20世紀前半の歴史というドラマチックな話題にも事欠かないので、そんな大河ドラマ的側面を強調すれば、普段は滅多に美術館に来ない人々も呼び込めるのではないだろうか。
2011/04/26(火)(小吹隆文)
中原浩大 展「paintings」

会期:2011/04/23~2011/05/28
ギャラリーノマル[大阪府]
2009年より制作を続けてきた、DVDの盤面にドローイングを描いたエディション作品1,000点と、デンマークの玩具「HAMAビーズ」10万ピースを用いた平面作品などを出品。HAMAビーズの作品は同じ色が隣り合わないように配色されたもので、オートマティズムの一種と言える。この作品を見て、2006年に彼が発表したツバメの群れを記録した作品の意味が少しだけわかった気がした。作品の意図に気付くまで5年もかかるとは情けない話だ。同時に、中原浩大の底知れなさを改めて思い知った。
2011/04/25(月)(小吹隆文)
フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展

会期:2011/03/03~2011/05/22
Bunkamuraザ・ミュージアム[東京都]
ドイツ・フランクフルトのシュテーデル美術館からの出品。フェルメールの《地理学者》をはじめ100点近い作品をごっそり借りることができたのも、ご多分にもれず美術館の改修工事のためという。宗教画から肖像画、風俗画、風景画、静物画まで万遍なくそろえましたって感じで目の保養になった。お目当てのフェルメールだけでなく、マネのようにじつにあっさりと描くフランス・ハルスの肖像画、農民の風俗画で知られるヤン・ステーンの初期宗教画、マイケル・ジャクソンそっくりのバーレント・ファブリティウス(フェルメールの後継者と見なされたカレル・ファブリティウスの弟)の自画像、当時としては珍しく女性画家として成功を収めたラッヘル・ルイスの花の静物画など、見どころは少なくない。が、やっぱりフェルメールにトドメを刺す。《地理学者》はフェルメール作品としては描写に雑な部分があり、評価はけっして高くないのだが、こうしてあらためて見比べてみるとほかの画家とのレベルの差は歴然。もう空気からして違う。二流画家の最高傑作より、超一流画家の凡作のほうが優れていると断言しよう。
2011/04/25(月)(村田真)


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