artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
現代芸術創造事業 Breaker Project 絶滅危惧・風景

会期:2011/02/26~2011/03/21
大阪市立近代美術館(仮称)心斎橋展示室[大阪府]
通天閣で知られる大阪・新世界を中心とする下町エリアで、2003年から続けられている「ブレーカー・プロジェクト」。今回は、初めて本拠地を離れて心斎橋の美術館で開催された。地元を離れることで本来の持ち味が薄れるのを危惧したが、今回のゲストである西尾美也と下道基行が良質な展示を行ない、過去の参加者であるトーチカ、パラモデル、藤浩志の作品も見応えがあった。ちなみに、西尾の作品は、子ども時代の写真と同じ場所・服装で改めて記念写真を撮る《家族の制服[新世界編]》と、かつて新世界で行なわれていた仮装行列を再現する《新世界・節分仮装行列》の2点。下道は、市井の人々が芸術意識を持たずにつくった造形物を取材・紹介する《Sunday Creator》だった。
2011/02/27(日)(小吹隆文)
春木麻衣子 写真展「photographs,whatever they are」

会期:2011/02/26~2011/05/08
1223現代絵画[東京都]
画面がほとんど白や黒だったりするが、そこに人影や風景が微細に映り込む、ずば抜けたセンスの写真。アメリカ自然史博物館は杉本博司も題材にしているが、春木麻衣子のシリーズは展示物=モノを対象としない。おそらく関心があるのは、博物館という空間の形式であり、真っ黒な画面のなかで小さな展示窓がランダムに散らばる独特の風景を再構築する。重ね撮りすることで、時間と空間が交差する異次元を生む。今回は以前見たときよりも大きなサイズで、作品の強度を増している。新作としては、地下鉄の空っぽの広告に自画像やまわりの他人がかすかに映り込むものや、ほとんど見えないパリの信号のシリーズが展示された。もうすぐ新しい写真集も刊行されるというから楽しみだ。
2011/02/27(日)(五十嵐太郎)
G-TOKYO 2011

会期:2011/02/19~2011/02/27
森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー 52F)[東京都]
今年で二年目を迎える、有名ギャラリーによる森タワーでの集合展示。タカイシイギャラリーのマリオ・ガルシアトレスによるセザンヌの絵《浴女》の数奇な運命をたどる作品、山本現代のエドガー・マーティンズによる、この世のものとは思えないような街の建築写真(セットで組んだもののようにも見える)が興味深い。そしてボンベイサファイアのバーラウンジにて、建築家の中村拓志がデザインした《幻影のマティーニ》も印象的だった。これはコップのなかのマドラーが回転し、水の渦巻きを起すことにより、逆円錐ヴォイドを生み、虚構のカクテル・グラスを出現させるという仕掛けである。
2011/02/27(日)(五十嵐太郎)
西野壮平「WANDERING THE DIORAMA MAP」

会期:2011/02/15~2011/04/02
EMON PHOTO GALLERY[東京都]
西野壮平は2005年の写真新世紀優秀賞(南條史生選)の受賞者。都市をさまざまな角度から撮影した写真を、コラージュの手法で繋ぎ合わせて再構築していく「DIORAMA MAP」シリーズを一貫して制作し続けている。当初はオリジナル作品をそのまま展示していたのだが、その後スキャニングして大画面にプリントアウトするようになった。大阪、東京など日本の都市からスタートしたこのシリーズも、ニューヨーク、パリ、ロンドン、イスタンブール、香港などに撮影範囲が拡大し、現在ではすでに10都市の「DIORAMA MAP」が完成しているという。基本的にその手法に変わりはないのだが、最近は画面のスケールが一回り大きくなり、より緻密で迫力のあるコラージュ作品に仕上がってきた。このような精巧な工芸品を思わせる技巧の冴えは、日本の現代写真を特徴づける作風として認知されつつあるのではないだろうか。西野もロンドンでほぼ同時期に個展が開催されるなど、その技術力と構想力がアメリカやヨーロッパでも高く評価されつつある。
注目すべきなのは、今回のEMON PHOTO GALLERYの個展でもその一部が展示されていたカラー写真による新作である。「Night」シリーズでは、都市の夜景を撮影してコラージュする。また「i-Land」シリーズではさらに積極的に複数の都市のイメージを自由に繋ぎ合わせ、「空想の都市を表象する」実験を試みている。創作意欲の高まりとともに、写真作家としての次のステップに踏み出していこうとしているのではないだろうか。そろそろ、作品集の刊行も視野に入れていってほしいものだ。
2011/02/26(土)(飯沢耕太郎)
MOTアニュアル2011──世界の深さのはかり方
会期:2011/02/26~2011/05/08
東京都現代美術館[東京都]
冨井大裕、木藤純子、関根直子、池内晶子、椛田ちひろ、八木良太という30~40代のアーティストの紹介。この複雑に絡み合った世界をシンプルな素材とそれぞれの「術」で探求している人たち、ということらしい。身近な商品をポップに組み合わせてみせる冨井、目に見えないくらいの細い絹糸を展示室いっぱいに張り巡らせた池内、カセットテープを球状に巻いて音を出す八木などそれなりにおもしろいが、残念ながら田窪のダイナミックな仕事に触れた後では稚戯にしか感じられない。こっちを先に見たほうがいい。
2011/02/25(金)(村田真)


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