artscapeレビュー
春木麻衣子 写真展「photographs,whatever they are」
2011年03月15日号
会期:2011/02/26~2011/05/08
1223現代絵画[東京都]
画面がほとんど白や黒だったりするが、そこに人影や風景が微細に映り込む、ずば抜けたセンスの写真。アメリカ自然史博物館は杉本博司も題材にしているが、春木麻衣子のシリーズは展示物=モノを対象としない。おそらく関心があるのは、博物館という空間の形式であり、真っ黒な画面のなかで小さな展示窓がランダムに散らばる独特の風景を再構築する。重ね撮りすることで、時間と空間が交差する異次元を生む。今回は以前見たときよりも大きなサイズで、作品の強度を増している。新作としては、地下鉄の空っぽの広告に自画像やまわりの他人がかすかに映り込むものや、ほとんど見えないパリの信号のシリーズが展示された。もうすぐ新しい写真集も刊行されるというから楽しみだ。
2011/02/27(日)(五十嵐太郎)