artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
大阪成蹊大学芸術学部絵画進級制作展

会期:2010/02/15~2010/02/21
大阪成蹊大学芸術学部[京都府]
大学内の教室を展示空間にして開催された美術学科の2年生と3年生の進級制作展。動物や学校周辺の風景を描いた2年生の姫井孝子のドローイングが印象深く記憶に残った。鋭い感受性と観察眼がうかがえる画力で今後が楽しみ。全体に、大学ののびのびとした雰囲気が学生たちの作品から伝わってくるようだが、同時に制作に対する真摯な姿勢も垣間みることができる会場で、良い教育を受けているなあと彼らをうらやましく思った。
2010/02/18(木)(酒井千穂)
新宮さやか展─陶 黒い蝕花─

会期:2010/02/05~2010/03/02
INAXガレリアセラミカ[東京都]
陶芸作家、新宮さやかの個展。植物の種や花びらを抱えるほど大きなサイズで制作した「枯れた時間の蝕」シリーズを発表した。特徴的なのは、おしべとめしべの一本一本を忠実に再現した繊細な造形と、炭のように真っ黒な色合いによる暗い迫力。過剰に装飾的になりすぎることもなく、かといって物質的な存在感に居直るわけでもなく、ひじょうに奇妙な物体をつくりだしている。その違和感は、「生命」の誕生や輝きを象徴する種子や花弁が「死」と直結した焼け焦げた黒によって表現されるという落差に由来しているのかもしれない。陶芸にとって本質的な「焼く」という行為。ほとんどの場合、それは作品の後景に隠されているが、新宮の場合は、むしろそれを自己言及的に前面化することによって、陶芸が内側に抱える「死」をよりいっそう強調しながら引き出している。
2010/02/18(木)(福住廉)
堀川紀夫 展

会期:2010/02/08~2010/02/20
ギャラリー檜A[東京都]
新潟の前衛芸術集団「GUN」のメンバーだった堀川紀夫による個展。鮮やかな青を下地にして、抽象的な文様が無限に反復する平面作品などを発表した。「GUN」といえば、1970年、広大な雪原に農薬散布のための機械で絵具をぶちまけた「雪のイメージを変えるイベント」が知られているが、今回の平面作品も距離感を失いながら雪や氷の内側に深く入り込んでいくような感覚が強く打ち出されていた。そうしたなか、同じパターンを踏まえながらも、一点だけ赤い作品が展示されていたが、ここに厳しい条件に拘束された状況を突き抜ける突破口が仮託されているように見えた。
2010/02/18(木)(福住廉)
鈴木友昌 展

会期:2010/01/22~2010/02/20
SCAIザ・バスハウス[東京都]
コンクリートの床に高さ50~60センチの人形が4体ほど立っている。パンクの青年や黒人の旅行者の像だが、よく見ると彩色された木彫で、細部までよくできている。モチーフといい、サイズといい、仕上がりといい、これはウケそうだ。
2010/02/16(火)(村田真)
第38回東京都立芸術高等学校美術科卒業制作展

会期:2010/02/12~2010/02/19
東京都美術館[東京都]
前2展よりはるかにのびのびいきいきした絵が多い。そりゃ公務員の絵のほうが子どもよりのびのびいきいきしてたら日本はおしまいだ。岡志憧の現実をマンガ化したような絵をはじめ、何点か注目すべき作品があった。しかし目録を見て驚いたのは、出品者40人のうち男子生徒が4人しかいないこと。油絵コースに3人とデザインコースに1人、日本画と彫刻は全員女子。
2010/02/16(火)(村田真)


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