artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

第32回文化会展

会期:2010/02/13~2010/02/19

東京都美術館[東京都]

その隣でやっていたこの展覧会は、教育庁職員文化会の主催。出品目録を見ると、都内の図書館や体育館や武道館や芸術劇場や都美術館の職員もいる。こちらのほうが教職員よりまじめにキッチリ描いてる感じ。教職員のほうはうまいヘタは別にして抽象もあって余裕が感じられたけど、こちらの職員さんはなんというか一生懸命リアリズムで描こうとしてるのに手が追いつかない感じ。そのひたむきさが図らずもグロテスクな美を生み出している稀有な作例もあって、あなどれない。

2010/02/16(火)(村田真)

第60回東京都教職員美術展

会期:2010/02/13~2010/02/19

東京都美術館[東京都]

タダだからついでに寄ってみる。区立市立の小中学校から都立高校まで、都内の公立学校の先生の展覧会。この程度の方々が子どもに絵を教えてるのかと思うとがっかりするが、どこにも「美術の先生」とは書いてない。ならば先生の趣味の集まりかというと、団体展並に招待枠があったり賞があったりして、いまいちめざすところが見えないのだ。どうでもいいけど。

2010/02/16(火)(村田真)

ボルゲーゼ美術館展

会期:2010/01/16~2010/04/04

東京都美術館[東京都]

ボルゲーゼ枢機卿の集めたコレクション展だけに、圧倒的に宗教画が多い。もう見慣れたはずなのに、魚に説教する聖アントニオとか、聖痕を受ける聖フランチェスコとか、人妻の裸をのぞき見る老人たちとかを見ると、あらためてなんとウサンくさい宗教なんだろうと思う。だからおもしろいのだが。ほかに同展の見どころは、マルチェッロ・プロヴェンツァーレによる美しいモザイク、アルキータ・リッチによる《支倉常長像》だ。とりわけ慶長遣欧使節の団長を描いた後者は、初めて油彩画で表わされた日本人の公式肖像画ではないか。白い絹地に金糸で動植物を刺繍した着物が伊達だ。つーか、彼らを派遣したのは伊達政宗だもんね。

2010/02/16(火)(村田真)

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京都オープンスタジオ2010

会期:2010/02/10~2010/02/15

うんとこスタジオ/桂スタジオほか[京都府]

公開期間の短かった2つのスタジオの最終日に間に合った。元薬局店舗の空間を利用したうんとこスタジオでは鈴木宏樹、谷澤紗和子、今村遼佑の作品展示。ちょうど一年ほど前、元立誠小学校で開催されたFIX展は、見る者の記憶を刺激するユニークな展示スタイルが印象的だったが、その展覧会の企画に携わっていたのもこの三人だった。他と比べると小さな空間だが、そのぶんそれぞれの個性がギュッと凝縮した空間は居心地悪いこともなく、ゆっくり楽しめた。その後、桂スタジオへ。黒川彰宣、柴田主馬、塩崎優、田中奈津子、岡田真希人、村上滋郎、風能奈々、水田寛の8名が利用する神社の向かいにあるプレハブ2階建ての共同スタジオ。大所帯だが、制作に向かうそれぞれの態度やその生々しさが一番感じられるスタジオだった気がする。そんな「オープンスタジオ」の醍醐味を感じるとともに、絵画っていいなあ、と改めて思わされる場所でもあった。水田寛は東京都現代美術館で開催中のMOT ANNUAL2010「装飾」にも出品している。

2010/02/15(月)(酒井千穂)

京都オープンスタジオ2010

会期:2010/02/10~2010/02/16

ライトスタジオ[京都府]

作家たちが日頃制作に使っているスタジオが作品展示をかねて同時期に開放される「京都オープンスタジオ」。2回目の今年は7つのスタジオが公開された。最初に訪れたのは京都市立芸術大学卒の作家たちが活動場にしている太秦の「ライトスタジオ」。学内展を見た後、ライブイベントが開催されると聞いて足を運んだ。かなり広いスペースだったが、2階で開催されていたライブは階段付近に観客があふれるほど賑わっていて驚いた。この日の訪問客はスタジオを使用している作家たちの友人、知人がほとんどだったのかも知れないが、作家やそこに集まる人たちが交流する和気あいあいとした雰囲気は、ギャラリーなどの発表空間でのそれとはまた違って良い感じだ。

2010/02/14(日)(酒井千穂)