artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
堀川紀夫 展

会期:2010/02/08~2010/02/20
ギャラリー檜[東京都]
ニュアンスに富んだ青い絵具で垂直線をリズミカルに描いている。滝のようにもオーロラのようにも見える美しい絵。作者は60年代末に新潟の現代美術家集団GUNで活動し、80年代から絵画に回帰した。
2010/02/13(土)(村田真)
宮島達男「その人と思想」展

会期:2010/02/04~2010/04/11
BLDギャラリー[東京都]
新著『宮島達男・解体新書』の出版記念展らしい。学生時代の演習から、ヴェネツィア・ビエンナーレの「アペルト88」にデビューするあたりまで、初期のパフォーマンスや作品写真を集めたもの。学生のころのヒリヒリするような痩身の青年は、現在の温和な姿からは想像できませんね。
2010/02/13(土)(村田真)
柴田祐輔 仮定ビート

会期:2010/02/03~2010/02/14
Art Center Ongoing[東京都]
「5th Dimension」展に参加していた柴田祐輔の個展。Ongoingの道路に面した外ガラスに「Yシャツ95円」などのクリーニング店のポップ広告を、2階の窓ガラスには「エステシルク」という怪しげな文字を、それぞれ貼りつけた。センスゼロの蛍光色がなんともキッチュでけばけばしい印象を強くしているが、展示の内容はじつにミニマル。家電量販店などで多用されている冷たい照明のもと、高級感を装ったフェイクで覆われた建物の外壁を打ち立て、その前で暗闇のなかで瞬く光の写真などを発表した。現実的な実在よりも、それらとは無関係なイメージに強いリアリティを感じるシミュラークルがモチーフとなっているようにも見えるが、そこには記号の戯れを嘯く虚勢もニヒリズムも見られない。ただ、冷たい光がのっぺりとした世界をひたすら照らし続けている。言葉のほんとうの意味で、フラットな世界を見せようとしていたようだ。奥行きもなければ、影もない、ほんとうの平面世界。照明を反射する黒いヘルメットと、暗闇の中で白く輝く光は、どこかで反転しながら通じ合っているようにも見えたが、そのようにして「深読み」することそのものが、深さを欠いた平面に安心できない私たちの弱点なのかもしれない。キッチュな装いとは裏腹に、おそろしい作品である。
2010/02/12(金)(福住廉)
高須健市 展──SURFACE

会期:2010/02/02~2010/02/14
neutron kyoto[京都府]
芸術センターからneutronで開催中の高須健市展へ。誰の目にも明らかな有名ブランドのモノグラムの型が張り巡らされていた。床にはそこらじゅうに破砕したチラシや雑誌などの印刷物がまるで落ち葉のように散らばっている。素材にしたものは拾ってきた「ゴミ」なのだそう。素材の性質のせいか一見するとサラッとした軽薄な印象もあるのだが、よくみると、そのパターンの色彩や配置間隔のバランスがすごい! 地道な仕事ぶりと展示の徹底ぶりが消費社会の構造と虚しさをいっそう鋭く突きつける。その皮肉はじつに解りやすくも痛快でチャーミングだった。
2010/02/09(火)(酒井千穂)
公募京都芸術センター2010「寺島みどり《見えていた風景──記憶の森》/森川穣《確かなこと》」

会期:2010/02/05~2010/02/24
京都芸術センター[京都府]
開館以来開催されている公募展。今年は映像作家の河瀬直美氏が審査員で、126の応募から寺島みどり、森川穣のプランが選ばれた。森川は、日頃の身体感覚や認識のリアリティにアプローチする作品を発表。日頃は目にすることのないものの存在や、観察することのない光景を意識させるインスタレーションを展開していた。寺島の作品は会期中に公開制作でつくりあげていく壁画。ちょうど寺島が休憩中のときに訪れたので、制作の様子を見ることはできなかったが、会場の壁面いっぱいに描かれた「風景」の筆跡やさまざまな色の重なりは容赦なく変化していく臨場感も生々しく、見ていると、胸がドキドキしてくる。本人は「まだ“見えていない風景”なんですよ」と笑っていたが、それはなにかを描こうとしているというよりも、目にするあらゆるものが流転していくありさまを小柄なその全身をいっぱいでとらえようとしている印象で、会場を後にしてからも、興奮気味だった。もう一度見に行こうと思っていたのに、気がつけば終わってしまっていたのがいまだに悔しい。
2010/02/09(火)(酒井千穂)


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