artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

丸山純子「ZZのはじまり展」

会期:2009/09/01~2009/09/12

実験スペース「ムーンハウス」[神奈川県]

横浜の野毛山に建てられたアーティスト・イン・レジデンス「ムーンハウス」。ガレージのような中庭部分が共用のアトリエになっていて、その上階に4つのコンパクトな住居がある。つまり4組のアーティストが同時に滞在・制作できるスペースなのだ。これは快適、ぼくも住んでみたい。施主は横浜市の匿名希望幹部、設計はオンデザインの西田司氏。そのオープニングのために滞在・制作した丸山さんは、この建築および中庭の形態を読み解いて、石鹸を使った作品を配置した。

2009/09/12(土)(村田真)

遠藤一郎エキシビジョン おいらとゆかいな野郎ども

会期:2009/09/09~2009/09/13

Art Center Ongoing[東京都]

遠藤一郎企画によるグループ展。遠藤にゆかりのある「ゆかいな野郎ども」数十人が、遠藤とじゃんけんをして勝った順番に場所を決めながら展示をしていった。ある種のアンデパンダン展だということでいえば、昨年に清澄白川のMAGIC ROOM?で催された「全員展!!!!!!!!」が必然的に思い出されるが、展示の密度や参加人数では圧倒的に下回るとはいえ、今回のほうが「全員展!!!!!!!!」より見応えがあった。若い自己表現が爆裂するなか、ひときわ異彩を放っていたのが、海野貴彦。抽象的で無機質なブロックだけを集積して無限に広がる都市空間を描写したかのような画面は、静謐さと狂気が紙一重で共存しており、周囲の喧騒がその異常性をよりいっそう引き立てていた。さらに、もうひとりおもしろかったのが、遠藤の想定外で同展に勝手に参加したやつ。彼もしくは彼女は、身元を明かさないまま、会期中にわたって会場にファクスによる同展への応援メッセージを送り続け、遠藤は律儀にそれらを一枚一枚会場に貼りつけていた。24時間テレビに送られてくる応援ファクスのようなアニメチックなイラストが描かれた紙面を見てみると、そこには「混欲アパートブログを見てPCの前でジャンプしました!」(「混欲」ではなく「混浴」が正しい)、「fight the future!」(遠藤はそんなフレーズはいったことがない)といったメッセージが描きつけられている。絵のタッチをその都度その都度変えながら、しかもTシャツのプリントを皺に沿ってきちんと描くなど、かなり芸が細かい。シニカルなニュアンスに「こいつ、むかつくわー」と遠藤はこぼしていたが、そういいながらも、わざわざ「ゆかいな野郎ども」に加えているところが、遠藤一郎の器量であり、そこに「未来」があるのだろう。

2009/09/12(土)(福住廉)

トらやんの大冒険(水都大阪2009)

会期:2009/08/22~2009/10/12

京阪なにわ橋駅アートエリアB1[大阪府]

大阪駅の構内にあるアートスペース、アートエリアB1で《サヴァイヴァル・システム・トレイン》や《タンキング・マシーン》をはじめ、火と水を噴く(という)船《ラッキードラゴン》の模型や新作絵本原画など、ヤノベケンジの作品が展示されている。《ラッキードラゴン》は、水都大阪2009のために制作された最新作で、中之島公園のローズポートや、そのあたりの水辺を回遊している「アート船」。大阪府立中之島図書館や市役所内にもヤノベ作品が展示公開されているのだが、この日はここだけ訪れた。水都大阪2009には数多くのアーティストが参加していて、展示もアートイベントも盛りだくさんなのだが、その数が多すぎるのか情報が少なすぎるのか、その一つひとつの詳細が把握しにくく、それがもったいない。

2009/09/11(金)(酒井千穂)

北浦和也 展「デテくるモノ」

会期:2009/09/14~2009/09/19

番画廊[大阪府]

水道の蛇口からゾウやニワトリがニュルッと出てきている壁面の展示、大きなパンダが飛び出している小屋のインスタレーション。入口の扉を開けるよりも先に目に飛び込む窓越しの会場の光景がすでに楽しく気持ちが盛り上がる。小さなものから大型の造形まで、木彫の作品がずらりと展示された空間は、調和のとれた色彩にも溢れているが、どっしりとした素材の重量感のせいもあるのか、作家のイメージが充満した濃厚な空気を放っていた。見ていると気分がすっきりしていく迷いのない鑿の跡とユニークな表現がじつに愉快だった。

2009/09/11(金)(酒井千穂)

山内庸資 展「a Corner」

会期:2009/09/07~2009/09/19

ギャラリーwks.[大阪府]

会場のライトはついているが、絵画作品を見るための空間にしてはずいぶん薄暗い。展示をひとつずつ順に見ていくが、画面には光沢があり、照明に反射するので、実際に塗られた色がいっそうわかり難く少しもどかしい。けれど、聞くとそれも作家の意図だという。必然的に眼を凝らしながら見ることになる作品には、木の枝や草むらの向こう側に見える山の景色や動物のほか、脈絡のつかめない不思議なモチーフも描かれている。たしかに、物語の序章のページを開き、文字を読みながらそこで何が起こっているのかを理解しようとするときのような気分。ゆっくりとその世界に見る者を誘っていく演出が愉快だったが、魅力的な作品なのにそれらの色彩がよくわからなかったのはやはり残念。次回見る時の楽しみにしておく、というのももったいないような気がした。

2009/09/11(金)(酒井千穂)