artscapeレビュー
山内庸資 展「a Corner」
2009年10月15日号
会期:2009/09/07~2009/09/19
ギャラリーwks.[大阪府]
会場のライトはついているが、絵画作品を見るための空間にしてはずいぶん薄暗い。展示をひとつずつ順に見ていくが、画面には光沢があり、照明に反射するので、実際に塗られた色がいっそうわかり難く少しもどかしい。けれど、聞くとそれも作家の意図だという。必然的に眼を凝らしながら見ることになる作品には、木の枝や草むらの向こう側に見える山の景色や動物のほか、脈絡のつかめない不思議なモチーフも描かれている。たしかに、物語の序章のページを開き、文字を読みながらそこで何が起こっているのかを理解しようとするときのような気分。ゆっくりとその世界に見る者を誘っていく演出が愉快だったが、魅力的な作品なのにそれらの色彩がよくわからなかったのはやはり残念。次回見る時の楽しみにしておく、というのももったいないような気がした。
2009/09/11(金)(酒井千穂)