artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
堂島リバービエンナーレ2009 リフレクション:アートに見る世界の今

会期:2009/08/08~2009/09/06
堂島リバーフォーラム[大阪府]
2006年と2008年に開催された「シンガポール・ビエンナーレ」の出品作品の中から、政治的・社会的・文化的な問題定義を行なう作品26点をセレクトして紹介。同ビエンナーレを手掛けた南條史生がアートディレクターを、同じくキュレーターを窪田研二が担当。出品作家は、会田誠、松蔭浩之、ツェ・スーメイ、ジェーン・アレキサンダー、アルフレド&イサベル・アキリザンなど。東南アジアや中東の作家が多くを占めるが特徴。
写真:Charly Nijensohn《El Naufragio de los Hombres (The Wreck of Men)》2008
2009/07/15(水)(小吹隆文)
梅津庸一「ゴールドデッサン」
会期:2009/07/11~2009/08/22
ARATANIURANO[東京都]
梅津庸一の個展。金属の先端による点描画などを発表した。モチーフは飛行機や人物など写真やネット上にある既存のイメージをもとにしており、しかもアトリエではなくファミレスで描かれたものだという。凡庸な日常性をこれでもかといわんばかりに突き詰めていくと、その向こう側が見えてくる、そんな方法論にもとづいているようだ。鉄道の切符の裏面を張り巡らせた作品は、無数の皺がくたびれた都市生活を物語るのと同時に、黒のさまざまなグラデーションがはっとするほど美しい。
2009/07/15(水)(福住廉)
wah「すみだ川のおもしろい」展

会期:2009/06/20~2009/07/20
すみだリバーサイドホール・ギャラリー、アサヒビール本部1階ロビー[東京都]
wahによるプロジェクトの報告展。隅田川で「こんなことがあったらいいのに」というアイデアを募り、300件のなかから「川の上でゴルフをする」「船にお風呂がある」「川分け師がいる」などを実現させた、その経緯をペーパーや映像などをとおして発表した。おもしろいのは、非現実的な思いつきをほんとうにやってしまう実行力に加えて、図書館で調べた資料をもとに、昔の人たちもほぼ同じようなことを考え、実行していたという史実を明らかにしていたところ。突飛なアイデアを実現させる活動は、ある一定の歴史的な系譜に位置づけられており、その正当性を根拠にすれば、こうした活動を持続させていくには便利なことこの上ない。逆にいえば、「アート」というほかない、超絶したおもしろさを実現するには、その系譜から抜け出さなければならないということだろう。
2009/07/15(水)(福住廉)
画家の眼差し、レンズの眼 近代日本の写真と絵画

会期:2009/06/27~2009/08/23
神奈川県立近代美術館/葉山[神奈川県]
梅雨明けの強い夏の陽射しの中、神奈川県立美術館の葉山館をはじめて訪れた。海に面していて気持ちのいい環境。レストランのテラスからの眺めは、日本の美術館でも一、二を争うものだろう。
開催中の「画家の眼差し、レンズの眼 近代日本の写真と絵画」展もなかなか充実したいい展示だった。近代絵画と写真との相関関係を浮かび上がらせる展覧会は、これまでもたびたび企画されてきた。だが本展は出品作215点余という規模においても、幕末から1930年代まできちんと目配りした作家及び作品の選定においても、この種の展示のエポックとなるものだろう。しばらくはこの展覧会を超える企画は成立しないのではないだろうか。
幕末~明治初期に島霞谷、横山松三郎、高橋由一、五姓田芳柳父子らが展開した、写真と絵画が一体化した活気あふれるアマルガム的な表現も面白いが、あらためて目を見張ったのは、大正から昭和初期にかけての「芸術写真」の時代の作品群のクオリティの高さである。「ピクトリアリズム」(絵画主義)のひと言で片付けられることが多いが、野島康三、日高長太郎、梅阪鶯里、有馬光城、渡辺淳らの高度な技術を駆使したプリントのレベルは、驚くべき高さに達している。その緻密な工芸品を思わせる画面構成の強度は、これから先に受け継いでいくべき貴重な遺産といえる。画像の処理能力が格段に上がったデジタル時代にこそ、「ネオ・ピクトリアリズム」が派生してくる可能性があるからだ。むしろ若い写真家たちにぜひ見てほしい展覧会である。
2009/07/14(火)(飯沢耕太郎)
中岡真珠美 展

会期:2009/07/13~2009/07/25
Oギャラリーeyes[大阪府]
中岡の作品は一見抽象的だが、実は自分が見た風景を元にして描かれており、本人も風景画であると明言していた。新作は広島の原爆ドームを描いたものだ。画調自体はこれまでと同様だが、それが建物であることが明確になり、明らかにいままでとは違う方向に進んでいることが分かる。本人いわく「これまでの方法に慣れてしまい、早晩行き詰まるのが目に見えていたので、新たな方向を模索している」とのこと。今後起こるであろう変化の予兆として本展を記憶しておきたい。なお、原爆ドームを選んだ理由は、建物の歴史的由来よりも、誰もが共有化できるイメージや構造物としての在り方に興味を覚えたことによる。
2009/07/13(月)(小吹隆文)


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