artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

伊藤亜矢美 展

会期:2009.07.13~2009.07.18

番画廊[大阪府]

多色刷りの木版画の作品。可愛らしいイメージだが、なぜかおにぎりのモチーフがたびたび登場するのが面白い。ほのぼのとしたイメージは大きいものの、単にかわいらしいだけではない魅力も感じた。レースや皺や襞などの繊細な表現、色の滲みや重なり、色彩のバランスも美しい。画面のなかにさまざまな時間が感じられる作品で、もっとじっくりと見たい気分だった。

2009/07/18(土)(酒井千穂)

中岡真珠美 展

会期:2009.07.13~2009.07.25

Oギャラリーeyes[大阪府]

実際に目にした風景を撮影写真をもとに描いていくという手法や、余白の表現などの特徴はこれまでと同じだが、建造物をモチーフにした今展の作品の印象は以前とは異なる。描かれていたのは広島の原爆ドーム。歴史的な意味や象徴よりも、構造物自体やその存在感に惹きつけられて描いたのだという。中岡のこれまでの作品には、余白とモチーフ、画材の絶妙な釣り合いが成す静態的な画面の印象から見いだせる風景というものがあり、それは彼女の作品の魅力のひとつだと感じていたのだが、イメージが強いモチーフを描いた新作は、対象から浮かび上がる空間的な表現の面白みがいっそう際立つだけに、風景としての想像が限られていくという気もした。中岡が今後どのように構造物を描いていくのか、いろんな意味でとても気になる。

2009/07/18(土)(酒井千穂)

中井恒夫─東京 原爆─

会期:2009/07/13~2009/08/01

秋山画廊[東京都]

原爆をモチーフとした映像インスタレーション。東京の地図を床面に、爆発する原爆を壁面に、それぞれ投影することで、東京が被爆するイメージを見せた。ただ爆発の映像描写が凡庸であったせいか、あるいは「東京」という記号が弱かったせいか、原爆が東京で爆発するという衝撃が十分伝わっていないように思えた。原爆のイメージを取り扱うアーティストが忘れてはならないのは、わたしたちの想像力には、ハリウッド映画などによって世界が滅びるイメージが、すでに何重にも書き込まれてしまっているという大前提ではないだろうか。

2009/07/16(木)(福住廉)

水都大阪2009

会期:2009/08/21~2009/10/12

大阪市・中之島周辺[大阪府]

大阪・中之島を主会場に、高度成長期を経ていったんは途切れかけた水辺と市民の関係を取り戻そうとする複合イベント。アーティストがかかわるものでは、ヤノベケンジによるアート船とアートツアー「トらやんの大冒険」、KOSUGE1-16、藤浩志、パラモデルら多数の作家が連日ワークショップを繰り広げる「水辺の文化座」、元永定正&中辻悦子、河口龍夫、今村源らが建築遺産を会場に行なう作品展示がある。全体のなかでワークショップが占める比率が高く、見るよりも積極的な参加が求められるのが特徴だ。

2009/07/15(水)(小吹隆文)

ART OSAKA 2009

会期:2009/08/21~2009/08/23(8/21はプレビュー)

堂島ホテル[大阪府]

大阪・西梅田の堂島ホテルで開催されるアートフェア。2002年に始まった当初の会場はベイエリアだったが、交通至便な現在地に移った2007年より認知度が一気に広まった。今年の参加は国内とアジアの47画廊。ホテルの4フロアを会場とし、客室ごとに参加画廊が展示・販売を行なう。会期中には数々のイベントも予定されている。決して大規模ではないが、コンパクトにまとまっている分作品とじっくり向き合えるのが長所である。なお、今年から初日はプレビューとなり、招待客のみの入場となるのでご注意を。

2009/07/15(水)(小吹隆文)