artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

竹本真紀 個展「記憶の庭」

会期:2009/06/03~2009/06/14

ZAIMギャラリー[神奈川県]

運動会や学芸会の映像などを流してる。「記憶の庭」がタイトルだから、きっと彼女の子どものころの映像なのだろう。それを見せることにどんな意味があるのか。ましてや作者を知らない人にとって。気にかかるのは「記憶の庭」という言葉だ。どこかで聞いたことがあるような、ないような……と脳内のそれこそ「記憶の庭」をたずねるうち、そうかここは脳内だったんだ、彼女の脳内の庭に映し出された記憶の映像を見せられていたんだと気づく。だとすれば、それを見てる自分はだれ?

2009/06/03(水)(村田真)

北島敬三「PORTRAITS」

会期:2009/05/22~2009/07/05

Rat Hole Gallery[東京都]

1992年から続けられている北島敬三の「PORTRAITS」のシリーズ。特徴のない白いYシャツを身につけた男女のモデルの正面にカメラを据え、同じ距離、同じフレーミング、同じ白バックのフラットなライティングで撮影。それを横位置、ほぼ等身大の大きさに引き伸ばし、フレームにおさめて均等に壁面に展示する。今回のRat Hole Galleryの展示では、「中年の東洋人の男性」4点、「若い東洋人の男性」6点、「若い東洋人の女性」4点のポートレートが展示されていた。それらの写真は髪型や髪の分け目、顔の皺などが少しずつ異なっており、明らかに一定の期間を経て何度も撮影されていることがわかる。
この「PORTRAITS」のシリーズについては、今後は判断を保留していきたい。なぜなら、何を書いても北島があらかじめ設定した「鋳型」に押し込められてしまいそうだからだ。写真を見ているうちに、この取り澄ました画面全体に無数の白蟻をたからせて、ぼろぼろに穴をあけて崩したくなってきた。狭い通路に想像力を閉ざしてしまうようなこの種の強制力は、まったく「写真的」ではないと思う。北島は最近になって、「PORTRAITS」以前に撮影していたスナップショットの封印を解き、ふたたび積極的に発表しはじめているが、それはどういうことなのか。彼の写真家としての生命力がそれを求めはじめているのではないか。東京都写真美術館で開催される「KITAJIMA KEIZO 1975-1991」(2009年8月29日~10月18日)では、そのあたりを再確認してみたい。

2009/06/03(水)(飯沢耕太郎)

岸田劉生──肖像画をこえて

会期:2009/04/25~2009/07/05

損保ジャパン東郷青児美術館[東京都]

没後80年というが、なにか唐突感が否めないのは損保ジャパンの単館開催だからだろう。これが東京近美とか平塚市美だったらまだ納得もいくのだが、なんでほかの画家の名を冠した損保会社の美術館で劉生をやらなきゃいけないんだ? でも展示は自画像をはじめ肖像画に絞って、東博の重文《麗子像》が出てないのは残念だが、デューラーの影響の明らかな《麗子肖像(麗子五歳之像)》、妖怪みたいな《野童女》などが出ていて、なかなか見ごたえがあった。しかしこうして見ると、意外にヘタだったのね。もう少しうまいと思ってたのに。

2009/06/02(火)(村田真)

関口正浩「うまく見れない」

会期:2009/05/30~2009/07/11

児玉画廊[京都府]

一見、色面を塗り重ねた抽象絵画。よく見ると表面がぬるっとした感触で、あちこちに皺がある。ビニール系のシートに絵具を塗ってコラージュしているのかもしれない。そう思ってギャラリーのスタッフに尋ねると、思いがけない答えが返ってきた。自作の樹脂製の板の上に油絵具を流し、生乾きの状態で引き上げ湯葉よろしく剥がしてキャンバスに貼り付けているのだ。絵具の生々しい質感が印象的で、見る者の生理に訴えてくるような存在感がある。この特徴をより鮮明にして行けば、独自の存在になれるかもしれない。

2009/06/02(火)(小吹隆文)

小沢さかえ個展「珠玉のポエジー 」

会期:2009/05/30~2009/07/05

MORI YU GALLERY KYOTO[京都府]

京都在住ながら東京での発表が続いていた小沢。ようやくその世界を直に見ることができた。現実と非現実、夢や妄想、具象と抽象などが混在する作品は、彼女の頭の中のイメージを素直にトレースしたものなのか? 胸の内にある大切な何かを見つけたような、ほのかに温かい気持ちになるが、同時に絶望的な孤独を感じたりもする。技量とオリジナリティを兼ね備えた画家であることがわかったので、今後も作品を見続けたい。なお、彼女は来年1月に国立国際美術館で開催される
「日本の現代絵画」(仮称)への参加が決定している。

2009/05/31(日)(小吹隆文)