artscapeレビュー

躍動する魂のきらめき 日本の表現主義

2009年07月01日号

会期:2009/04/26~2009/06/15

栃木県立美術館[栃木県]

日本における表現主義を検証する展覧会。1910年代から1920年代にかけて、美術を中心に建築、デザイン、演劇、映画、音楽、舞踏、写真などさまざまなジャンルに現われた表現主義的な作品、500点あまりを一挙に公開した。展示も図録もひじょうに充実した内容だったが、なかでも際立っていたのが、長安右衛門による《装飾文様(煩悶)》(1927)。おびただしい仏と人が入り乱れ、それらがうねりながら曼荼羅のようなダイナミックな世界を描き出している。「躍動する魂」とはまさにこのことで、日本の表現主義を体現した象徴的な作品である。

2009/06/15(月)(福住廉)

artscapeレビュー /relation/e_00004367.json l 1206165

2009年07月01日号の
artscapeレビュー