artscapeレビュー

関口正浩「うまく見れない」

2009年07月01日号

会期:2009/05/30~2009/07/11

児玉画廊[京都府]

一見、色面を塗り重ねた抽象絵画。よく見ると表面がぬるっとした感触で、あちこちに皺がある。ビニール系のシートに絵具を塗ってコラージュしているのかもしれない。そう思ってギャラリーのスタッフに尋ねると、思いがけない答えが返ってきた。自作の樹脂製の板の上に油絵具を流し、生乾きの状態で引き上げ湯葉よろしく剥がしてキャンバスに貼り付けているのだ。絵具の生々しい質感が印象的で、見る者の生理に訴えてくるような存在感がある。この特徴をより鮮明にして行けば、独自の存在になれるかもしれない。

2009/06/02(火)(小吹隆文)

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