artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
高橋コレクション展──ミラー・ニューロン
会期:2015/04/18~2015/06/28
東京オペラシティ アートギャラリー[東京都]
精神科医の高橋龍太郎氏が集めた日本の現代美術コレクションから、草間彌生をはじめ、横尾忠則、李禹煥、森村泰昌、奈良美智、村上隆、風間サチコ、束芋、Chim↑Pomまで52作家、約140点の出品。驚くのは、会田誠の《紐育空爆之図》や西尾康之の《クラッシュ セイラ・マス》など、ここ20年ほどのあいだに時代を画し、もはや古典といっても過言ではない作品がちゃっかり収められていること。まるで『美術手帖』を見ているようなセレクション……といったらホメたことにならないな。ともあれよくぞ集めたもんだが、でも以前の「ネオテニー・ジャパン」のころより趣味は広がったようで、もの派や岡田謙三まで手を伸ばしてる。余計なお世話だが、もっと絞ったほうがコレクション自体の価値が上がるんじゃないかしら。後で出品作品リストを見ていてガーン、須田悦弘を見逃してしまった!
2015/04/25(土)(村田真)
ジョン・マカリスター「とつぜんの轟き まだらの海」
会期:2015/03/28~2015/04/30
ハギワラプロジェクツ[東京都]
ぜんぜん知らない作家の個展。グレーの下地に紫やピンクで草花や樹木を描いた絵。周縁には額縁みたいな縁どりがしてあって、色彩ともどもマティスを思わせるが、ちょっとボケたようなゆるい空気はむしろボナールに近いかもしれない。と画家の名前をあげつらいたくなるほど、これらの作品は美術史から栄養分を摂取しているに違いない。
2015/04/25(土)(村田真)
染谷亜里可 展
会期:2015/03/20~2015/04/25
ケンジタキギャラリー東京[東京都]
ベルベットを脱色して描く特異な絵画。今回は画面が上下半分にわかれ、上下対称に装飾パターンや幾何学的イメージが描かれている。上半分はくっきりしているのに下半分はぼやけているので、下は水面か磨いた床のような設定かもしれない。ベルベットは脱色すると黄色っぽくなるが、基本的にモノクロームなのでグラデーションによる表現となる。濃淡のあるグリッドはリヒターの「カラーチャート」を参照したというが、モノクロームでカラーチャートに挑戦するとは!
2015/04/25(土)(村田真)
TWSエマージング2015[第1期]
会期:2015/04/11~2015/05/10
トーキョーワンダーサイト渋谷[東京都]
長田堅二郎、大山紗智子、村上賀子の3人。長田は壁から壁へ数百本の糸を水平に張っている。糸はほぼ目の高さに合わせて約1センチ間隔で、上下2段に張られている。なので横から見ると薄い膜が2枚張ってるように見える。技術的なことだが、糸と壁には相当な張力がかかるはずなのに、その接点がきれいに処理されている。これは見事。大山は、人が食事したり風呂に入ったりバーで飲んだりソファに寝そべったりしている上に、さまざまな戦闘機を書き加えた絵画を10点ほど。テーマも暗いけど、紫と茶色を合わせたような色彩も暗い。村上は室内を撮った写真を出しているが、ノートの紙片を折ってつくった動物らしき折り紙の写真が妙に印象深い。
2015/04/25(土)(村田真)
単位展
会期:2015/02/20~2015/05/31
21_21 DESIGN SIGHT[東京都]
小6の息子と見に行く。長さ、重さ、時間などを計るさまざまな「単位」をモチーフとした展示。教科書みたいに1メートルは100センチで、とかいわれても「あーそー」で終わってしまうが、ここでは身近なものを使って比較し、また実際に体感してみるのでわかりやすい。たとえば一斗樽といわれてもピンと来ないけど、隣に一升瓶を10本、徳利を100本、お猪口を500個ほど並べてあるから一目瞭然。また、マッハ1(秒速340メートル)はどれくらい速いか見当がつかないけど、1秒間で東京タワーの高さを上回ると写真で示されれば納得するし、山道を走る自動車から撮った映像を早回しすれば実感もできる。おもしろいのは言葉の重み。「あ」から「ん」まで同じ材質でつくったひらがなを組み合わせて単語をつくり、天秤で計るというもの。「ちち」と「はは」では「はは」が重く、「おくさん」と「あいじん」ではわずかに「あいじん」が重かった(なにを計ってんだか)。で、いちばん軽いのは「へ」。言葉はけっこう正直なのだ。
2015/04/25(土)(村田真)