artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

REN-CON ART PROJECT 連茎する現代アート

会期:2015/02/17~2015/03/08

名古屋市芸術創造センター[愛知県]

名古屋市芸術創造センターの「連茎する現代アート」展へ。3つの芸大による共同企画で、1~4階のホワイエと、ホール内の客席で展示する興味深い試みである。通常、こうした企画はホールで実現しにくいのだが、施設の工事期間を利用して可能になったものだ。アーツチャレンジ2015とは後藤あこ、豊川の「豊穣なるもの」の展示とは、荒木由香里が重なる。あいちトリエンナーレ以外の期間でも、まちなか展開のような作品展示が行なわれており、愛知県の現代美術が積極的に活動していることがうかがえる。

写真:上=名古屋市芸術創造センター 中=山下拓也 下=川見俊

2015/02/22(日)(五十嵐太郎)

愛知県美術館コレクション「グロテスク・モデルヌ」/APMoA Project, ARCH vol.13 伊東宣明「アート」

会期:2015/02/03~04/05(伊東宣明「アート」)

愛知県美術館[愛知県]

愛知県美術館の常設。今回はグロテスクの小特集である。常設のエリアは、同じ作品と繰り返し再会できる場だが、現代部門ではその度ごとにモーリス・ルイスの大きな絵《デルタ・ミュー》のお気に入り度が上がる。若手枠のプログラムでは、伊東宣明のアートとは何だ、を問う映像作品が楽しい。その考察の結論は、意外に月並みな感じもしたが、むしろ、その過程で彼の背景に映し出される、めくるめく場所の連鎖が気になって飽きさせない。

2015/02/22(日)(五十嵐太郎)

ロイヤル・アカデミー展

会期:2015/02/03~2015/04/05

愛知県美術館[愛知県]

愛知県美術館で、二度目の「ロイヤル・アカデミー」展へ。静岡のホワイトキューブで見たときよりも、いい雰囲気だった。近代以前の西洋絵画を展示するために、背景の壁を、青、赤、茶、緑にするのは、珍しくない手法だが、同じ作品のはずなのに、やはり見え方がだいぶ変わる。また愛知の方が天井は高いのだが、絵のスケール感にも似合っているように思われた。もともとこれらの絵が描かれた環境、あるいは展示を想定した場に近いからなのだろうか。絵が空間を求めるのだ。

2015/02/22(日)(五十嵐太郎)

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ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展 印象派を魅了した日本の美

会期:2015/01/02~2015/05/10

名古屋ボストン美術館[愛知県]

金山のボストン美術館「華麗なるジャポニスム」展へ。モネの《ラ・ジャポネーズ》を目玉にしつつ、19世紀後半から20世紀初頭に日本美術が西洋絵画に与えた影響を検証するものだ。その試みは、横浜で開催中のホイッスラー展とかぶる。ただ、明らかな日本からの影響と言えるものはいいが、そうでない作品も少なくない。それらについては、キャプションがかなりの深読みになっており、展覧会において、どのように伝え、見せるかは難しいと感じた。

2015/02/22(日)(五十嵐太郎)

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市民ギャラリー郷土作家展「廣村正彰 デザインからデザインまで」

会期:2015/01/31~2015/02/28

安城市民ギャラリー 展示室A・B・C[愛知県]

安城市民ギャラリーの「廣村正彰 デザインからデザインまで」展へ。郷土作家ということで、廣村のデザインの仕事を振り返る企画である。さまざまなロゴ、山本理顕やシーラカンスらが設計した建築のサイン計画、ポスターが壁一面にぎっしりと並び、これらが一堂に会すると、廣村タウンのようだ。同様なことは、田中一光の回顧展を見たときにも感じたことだが、デザイナーもロゴやサインを通じて、都市の風景をつくっているのだ。なお、この展覧会でも紹介されているように、彼は空間のグラフィックに強いので、あいちトリエンナーレ2013でデザインを依頼した。

2015/02/22(日)(五十嵐太郎)