artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

今井祝雄 タイム・コレクション

会期:2015/01/14~2015/03/11

ユミコチバアソシエイツ[東京都]

同ギャラリーでは最近、高松次郎に若江漢字と60-70年代作家の個展が多いが、今井祝雄もそのひとり。今井は1964年、弱冠17歳で具体美術協会に参加し、70-80年代にはコンセプチュアルアートやビデオアートを手がけてきた。たとえば、裸の本人が自写撮りしたポラロイドを体に貼りつけていき、肌が隠れるまで繰り返すといった作品。この作品に対して、裸の写真で裸を覆うという矛盾も指摘できるし、また徐々に露出度が減っていくという時間の推移を読み取ることもできる。さらによく見れば、1枚目の写真には裸の本人が写ってるだけだが、2枚目の写真には1枚目の写真が入れ子状に写り込んでおり、3枚目の写真には1枚目の写真が入れ子状に写り込んでるだけでなく、1枚目の写真が入れ子状に写り込んだ2枚目の写真が入れ子状に写り込んでおり、4枚目の写真には……といった具合に、最終的には体に貼りつけた枚数分だけ入れ子状に写真が写り込んでおり(もちろん実際には見えないが)、しかもポラロイドの性質から新しい写真ほど薄く不鮮明であることも指摘しなければならない。ほとんど迷宮のような世界。そういえばこの時期マニエリスムへの関心が高まっていたなあ。

2015/02/20(金)(村田真)

田中望 展「潮つ路」

会期:2015/02/07~2015/03/01

横浜美術館 アートギャラリー1、Café小倉山[神奈川県]

横浜美術館アートギャラリーの田中望展「潮つ路」を見る。東北芸工大出身の画家だ。東北のイメージを込めた船の連作が、土着性を感じさせると同時に、パワフルである。

2015/02/20(金)(五十嵐太郎)

ホイッスラー展

会期:2014/12/06~2015/03/01

横浜美術館[神奈川県]

二度目のホイッスラー展。会期の終わりで、すごい人出である。年齢層も高い。日本の絵から影響を受けつつも、デザイン的に大胆な構図では超えることはできず、代わりに溶けるような色の世界を生み出すことによって、むしろ彼の独自性を発揮した。

2015/02/20(金)(五十嵐太郎)

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プレビュー:和歌山と関西の美術家たち リアルのリアルのリアルの

会期:2015/03/14~2015/05/10

和歌山県立近代美術館[和歌山県]

和歌山出身あるいは関西を拠点に活動する1970年代から80年代生まれの5人のアーティスト(伊藤彩、大久保陽平、岡田一郎、君平、小柳裕)の仕事を紹介する。彼らが様々な手法、素材を用いて表現する作品には、本物と偽物、日常と非日常、ミクロとマクロ、妄想と現実など対極的な要素が混在している。それらを通して我々は、現代人が抱く現実への不信感、自分という存在の不確かさ、自らの足元を見直すなど、現代における「リアル」の感覚を再考することになるだろう。

2015/02/20(金)(小吹隆文)

プレビュー:Exhibition as media 2014 phono/graph ─音・文字・グラフィック─

会期:2015/03/21~2015/04/12

神戸アートビレッジセンター[兵庫県]

「音・文字・グラフィック」の関係性の研究と、それを取り巻く現在の状況を検証しながら形にすることを目的とするプロジェクト。2011年にdddギャラリー(大阪、現在は京都)で第1回の展覧会が行われ、その後、ドイツ、名古屋、京都、東京での開催を経て、この度の神戸展となった。今回は神戸アートビレッジセンターが有するシルクスクリーン工房の機能を生かした展開が披露される予定だ。参加作家は、鈴木大義、城一裕、藤本由紀夫、八木良太、ニコール・シュミット、intext、softpadの7組。なお本展は、神戸アートビレッジセンターとアーティストが企画立案から実施までを協働する展覧会「Exhibition as media(メディアとしての展覧会)」(2007年~)の今年度版である。

2015/02/20(金)(小吹隆文)