artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
プレビュー:岡本光博「マックロポップ」
会期:2014/10/25~2014/11/22
eitoeiko[東京都]
2012年に京都にオープンした現代美術ギャラリーKUNST ARZTの主宰でも知られるアーティスト 岡本光博の個展が東京で開催される。キュレーションは青森県立美術館学芸員 工藤健志氏。ごく普通の生活のなかで抱く疑問を徹底的に追求し、社会通念や既成概念に軽快かつ鋭く切り込む岡本作品。一貫した表現の姿勢にもファンが多い。東京での個展開催は実に21年ぶりという今展には、これまで発表された作品の数々に加えて未発表新作も展示されるというから期待が膨らむ。展覧会初日(10/25)に開催される関連ワークショップ「岡本光博の作品「まんげ鏡」をつくろう!」もなにやら「過激な匂い」がして気になる。
2014/10/06(月)(酒井千穂)
黄金町バザール2014
会期:2014/08/01~2014/11/03
日ノ出町・黄金町界隈[神奈川県]
黄金町の文化的活性化を目指して2008年からスタートした、ヨコトリの連携プログラムのひとつ。今回は「仮想のコミュニティ・アジア」をテーマに、内外38組のアーティストが参加している。今日は午前11時からキュレータの原万希子さんとともに作品を見て回るツアーに参加する予定だったが、台風接近のため中止となり、室内で解説を聞く。作品を見る前に解説は聞きたくなかったけど、せっかくだから聞いてみた。なわけで、今回のぼくのテーマは「解説を聞いてから見るのと聞かないで見るのとでは作品がどのように違って見えるか」。まず、解説を聞かなきゃ理解できなかったものに、インドネシアの民主化運動のプチ記念館をつくったヤヤ・スン、ベトナムで人気のサトウキビジュースのキャラクターのルーツをリサーチしたライヤー・ベンらの作品がある。これらはその国の歴史や社会を知らなければ作品だけ見てもチンプンカンプンだ。次に、解説を聞こうが聞くまいがたいして変わらないものに、廃車やカラスの剥製などを組み合わせてインスタレーションしたフィリピンのポール・モンドック、黄金町で活動するイケメンの画家、彫刻家、写真家たちを仮想描写し、彼らとロールプレイングゲームを展開する木村了子らの作品がある。モンドックの作品には説明不能な不気味さがあるので、解説がなくても見ればわかる(見なければわからない)し、木村はコンセプトもプレゼンも明快なので解説がなくても伝わるからだ。逆に、解説はおもしろそうだったのに期待はずれだったのが、勇気のないライオンと知恵のないカカシと心のないブリキの木こりの着ぐるみを交換していくという、日中韓のアーティストによる西京人、さまざまな意味や象徴性をもつ「馬が近づいてくる音」を表現した地主麻衣子らの作品だ。これらは解説だけ聞くと最高におもしろそうだったが、期待を膨らませすぎたせいか実際の作品とのあいだにギャップが生じた。最後に、解説を聞かないほうがよかったものに、当初のプランが実現できず、結果的になにもない空っぽのスタジオを公開することになった太湯雅晴の作品がある。いや、この場合「作品がない」というべきか。これは彼の沈黙による抗議の意思表明であるかもしれないが、そんな裏事情を払拭するほど空っぽのスタジオはインパクトがあった。結論、やっぱ作品を見る前に解説を聞かないほうがいい。
2014/10/05(日)(村田真)
第9回ヒロシマ賞受賞記念 Doris Salcedo ドリス・サルセド展
会期:2014/07/19~2014/10/13
広島市現代美術館[広島県]
広島市現代美術館の第9回ヒロシマ賞受賞記念のドリス・サルセド展を見る。テートモダンやグッゲンハイム美術館での大型のプロジェクト紹介の次に、薔薇の花びらを縫いあわせた作品が床に展開する部屋が続く。そして下階に降りると、真ん中に土をはさみながら、上下に積んだテーブル群が出現する。これらが墓標のように並ぶインスタレーションが、全空間を埋め尽くす。小さな草は再生を意味するという。
2014/10/04(土)(五十嵐太郎)
scene のつくりかた:牛島光太郎展
会期:2014/10/03~2014/10/19
ギャラリー・パルク[京都府]
2003年より牛島光太郎が発表してきた「モノ」と「言葉」による作品シリーズ《scene》。言葉(文字)を刺繍した布、収集したモノなどを組み合わせ、ありふれた日常や誰にでも起こりうる物語を想起させるこの一連の作品は、2008年の「scene-36」を最後に、今年、京都芸術センターで開催された「イマジネーション・スーパーハイウェイ」での「scene-37」、「scene-38」の発表まで約6年間、制作が途切れていた。今展は「scene-1」から2008年までに至る期間と、それから約6年の期間中に牛島が制作していた《scene》の習作などを主に展示したもの。会場は、マンガや小説の一場面を合わせた平面作品、日常品や拾ったものなどを会場で組み合わせたという「モノの断片を組み合わせた」作品、雑誌、新聞、映画などのワンシーンなどをもとに描いたドローイング、最新作3点などで構成されていた。まったく文脈の異なるモノや言葉の組み合わせによって観る者のイ
2014/10/04(土)(酒井千穂)
大舩真言/アンヌ&パトリック・ポワリエ展「時の影」
会期:2014/10/05~2014/10/10
有斐斎 弘道館[京都府]
「ニュイ・ブランシュKYOTO 2014」関連企画。美しく管理された日本家屋と茶室にて、日の落ちた後に、靴を脱ぎ、畳に上がり、大舩氏の作品を正面に、正座でじっくり鑑賞。視界には湖らしき水面の線が浮かぶが、しだいに境界は曖昧になり、暗闇にじわりと溶けていくよう。見ている側が絵画に包み込まれる心地いい体験。
2014/10/04(土)(松永大地)