artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

せいのもとで

会期:2014/09/05~2014/10/12

資生堂ギャラリー[東京都]

性の下で? 精飲もと出? 意味不明のタイトルは、資生堂の社名が易経にある「万物資生」から採られたものであることを踏まえ、ゲストキュレーターの須田悦弘がこれを「生の元手」と読み替えたもの。このテーマに沿って須田のほか、銀閣慈照寺の花方である珠寶、染色家の志村ふくみ・洋子、宮島達男、クリスティアーネ・レーアらが新作を出している。さて須田の作品はどこだろうと見渡すと、受付に花が。これだけじゃないだろうと探したら、なんと入口に掲げられた花椿マークを彫っていた。たしかに花だけど。このギャラリーができた1919年に発売された化粧品「海綿白粉」も出品されて、なんだ資生堂の宣伝かよってな感じ。

2014/09/20(土)(村田真)

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モダンとコンテンポラリー─1970年代を巡って

会期:2014/09/20

紙パルプ会館3階会議室[東京都]

もの派をはじめ70年代美術の見直しの気運が高まるなか開かれたシンポジウム。スピーカーは70年代にデビューした鷲見和紀郎と高木修、埼玉近美で「70年─物質と知覚」を企画した平野到、モデレーターは東京近美の松本透。話は70年代の美術を巡ってというよりもの派を巡って進行し、当時まだ影響力のあった美術ジャーナリズムや批評の問題とか、アングラやサブカルチャーとの関係とか、各地に建ち始めていた公立美術館の話題とかにはほとんど触れられなかった。これはいかにもの派が70年代のトピックを独占していたか、いいかえれば、いかに70年代の美術が狭い世界だったかということを物語ってもいる。ただ貸し画廊に関しては鷲見さんが触れていた。「当時は貸し画廊が美術を支えていたが、レンタル料が高く作品に金が使えなかった。これがほんとのアルテポーヴェラ(貧しい芸術)」なんてね。しかしこれは冗談ではなく、もの派やポストもの派の作品素材に木材や石が多かったのは、安く手に入り使い回しができるからだろうし、空間を一時的に作品化するインスタレーション形式が多かったのは、貸し画廊で発表し、売れる見込みがなかったからにほかならない。実際アルテポーヴェラだったのだ。そんな経済の話も出なかったなあ。

2014/09/20(土)(村田真)

あるアホの一生─田村画廊ノート─

会期:2014/09/15~2014/09/20

ステップスギャラリー[東京都]

70年代に絶大なる信頼を誇った貸し画廊が神田にあった。田村画廊だ。そのオーナーが山岸信郎さん(2008年に死去)。後に真木画廊と駒井画廊を近くに開き、田村は移転したり真木と合併したりしたのでややこしいが(私事だが、80年代にこれらの画廊に敬意を表して「駒井真木」のペンネームを使ったことがある)、とにかく70~80年代に台頭したもの派、ポストもの派、ニューウェイヴの連中で山岸さんのお世話にならなかった人はいないといっていいほど「大きな人」だった。貸し画廊が単に作家から金をとって場所を貸す不動産屋ではなく、作家を育て、助言し、企画展に推薦し、海外にも紹介するという大切な役割を担うオルタナティヴなインスティテュートであったことは、山岸さんがいなければ認識されなかったに違いない。そんな山岸さんと田村画廊を巡る資料展。出品は安斎重男さんの写真を中心に、山岸さんの自筆原稿のコピー、3つの画廊の展覧会歴、カタログなど。

2014/09/20(土)(村田真)

プレビュー:鉄道芸術祭vol.4「音のステーション」

会期:2014/10/18~2014/12/23

アートエリアB1[大阪府]

京阪電車の駅コンコース内にあるアートエリアB1が毎年開催している、鉄道の創造性に着目した芸術プログラム。過去には、西野達、やなぎみわ、松岡正剛がプロデューサーを務めたこともあるが、今回はプロデューサー制を取らず、「音」をテーマにした作品展示やパフォーマンス、コンサート、ワークショップなどを開催する。ゲストは、有馬純寿、伊東篤宏、宇治野宗輝、江崎將史、鈴木昭男、野村誠、藤本由紀夫、八木良太などの面々。彼らがつくり上げる、ジャンルや業態の枠を超えた“音のステーション”がいまから楽しみだ。

2014/09/20(土)(小吹隆文)

MAMプロジェクト022 ヤコブ・キルケゴール

会期:2014/09/20~2015/01/04

森美術館[東京都]

福島の自然を山水画のように縦長の画面に映し出すサウンド・ビデオ・インスタレーション。また福島ネタかよ。

2014/09/19(金)(村田真)