artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

さわひらき Under the Box, Beyond the Bounds

会期:2014/01/18~2014/03/30

東京オペラシティ アートギャラリー[東京都]

東京オペラシティアートギャラリーのさわひらき展へ。誰もいない部屋の中を人知れず静かに航空機が飛び交う、あるいは小さな動物たちが歩く、またレコードと記憶など、前半の旧作は、すでにだいぶ見ていた。今回は天文台での新作などが追加された。展示の最後に設置された鏡と映像のインスタレーションがよかった。印象的だったのは、訪問時に来場者の9割以上が女性だったこと。なるほど、女性好みの作品かもしれない。

2014/02/02(日)(五十嵐太郎)

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宮本承司 木版画展

会期:2014/01/31~2014/02/16

アートゾーン神楽岡[京都府]

若手ながら、お寿司をモチーフにした木版画作品で注目を集めている宮本承司。その特徴は、モチーフを半透明で表現していることと、シャープな造形が醸し出す無菌的な質感である。本展では、代表作のお寿司や果物のシリーズだけでなく、葛飾北斎の《冨嶽三十六景》を食べ物で表現した愉快なパロディーや、小説の挿絵を想定して描いた連作など、新しい試みも見られた。また版木の展示や、来場者へのお土産ハガキを公開制作するなど、サービスもたっぷり。意外にも今回が地元関西で初個展ということもあり、本人が「全部のせ」と言うとおりの大盤振る舞いであった。

2014/02/02(日)(小吹隆文)

第8回 shiseido art egg:加納俊輔 展「ジェンガと噴水」

会期:2013/01/10~2014/02/02

資生堂ギャラリー[東京都]

加納が試みる手法やプロセスの先鋭性、それがさらに鋭くなっていることはもちろん興味深いが、天井高のあるギャラリーで彼が得たのは、その表現の自由さだと思う。写真だったものが石にプリント、それがベニヤとなり、尖った形に発展した。小品では彫刻的、オブジェクトとしての感が強かったが、巨大な作品に形成されることで、その様は、まるで自由に描かれたドローイングを見ているかのような印象に。写真が貼られた鋭角の板片が中央の穴を軸に回転しているという構造ものびのびしていて、これを描くための手法だったのではないかと逆に思うほどの躍動感が前面に出ていた。向かいに展示されていた路上に根ざしたスナップ写真作品(「ストリート感」は彼のモチーフでは重要なキーワードだと僕は勝手に思っている)も負けじと巨大化。“静”タイプと思っていた版作品がこんなにも空間を駆け巡る運動を生むとは。

2014/02/02(日)(松永大地)

アサヒ・アートスクエア オープン・スクエア・プロジェクト2014「Alterspace──変化する、仮設のアートスペース」

会期:2014/01/11~2014/02/02

アサヒ・アートスクエア[東京都]

浅草のアサヒ・アートスクエアのスペースを公募で選んだキュレーターに全面開放し、創造的に活用してもらおうというプロジェクトの第3弾。選ばれたキュレーターは水田紗弥子で、彼女の提案したのが「オルタースペース」というもの。これはインディペンデント・キュレーターならではの発想で、展覧会というものを特定の場所に固定させずに移動、変化、継続していくためのプラットフォームとしてとらえている。彼女によれば「架空の公園のような、移動式サーカスのような、四次元ポケットのような」ものだという。展示は、水田企画の日中韓7人のアーティストによる「乱視の光」に加え、中村土光企画の日替わり個展と対話による「なんかいう/考え中」、近藤恵介企画の「12ヶ月のための絵画」、CAMP企画の「漂流メモ」なども混在し、全体でオルタースペースを形成している。段ボールやベニヤを多用したストリート系の作品が多いうえ、ステージやカフェもあり、あっちでは映像が流され、こっちではシンポジウムが行なわれ、バザールみたいににぎやか。それはいいのだが、個々の作品を見てもたいしておもしろくないというか、気が散って集中できないというか、そもそもどっからどこまでが誰の作品かもわかりづらいのだ。まあ公園だってバザールだって「誰の作品か」なんて考えたら楽しめないし。

2014/02/01(土)(村田真)

韓国刺繍博物館コレクション「ポジャギとチュモニ」

会期:2014/01/08~2014/03/30

高麗美術館[京都府]

韓国・ソウルにある韓国刺繍博物館と京都市にある高麗美術館のコレクションから選んだ、ポジャギとチュモニ、約85点を紹介する展覧会。「ポジャギ」とは、韓国で物を包んだり覆ったりするときに使う布のことで、日本でいう風呂敷のこと。「チュモニ」は眼鏡や箸入れ、女性用のポーチなどの袋物のことだ。ポジャギは、古いものとしては高麗時代(10~14世紀)のものも残されているというが、もっとも盛んにつくられたのは18世紀頃、つまり朝鮮時代である。同展で紹介されているのもおもに朝鮮時代のもので、同時代の女性たちの端正な手仕事を垣間見ることができる(ちなみに会期中に開催される「ポジャギづくり講座」の講師・中野啓子による創作ポジャギなど現代の作品も15点あわせて展示されている)。個人的な印象だが、日本の風呂敷というと1枚の布でできた染物をイメージするが、韓国の風呂敷(ポジャギ)というと「チョガッポ」と呼ばれる、端切れを縫いつないで1枚の布に仕上げるパッチワーク風のものを思い浮かべる。それは物を粗末にしないために工夫されたものだが、その造形にはパウル・クレーやモンドリアンなど20世紀のモダンアートを連想させる独特な美しさがあり、見ていて楽しい。[金相美]

2014/01/31(金)(SYNK)

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