artscapeレビュー

映像に関するレビュー/プレビュー

グイド・ヴァン・デル・ウェルヴェ個展 killing time|無為の境地

会期:2016/02/20~2016/03/21

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA[京都府]

オランダ出身で、現在はハッシ(フィンランド)、ベルリン、アムステルダムを拠点に活動するグイド・ヴァン・デル・ウェルヴェ。彼の作品の特徴は、自らが行なったパフォーマンスの記録を元に映像作品を制作することだ。また、作品に自作の楽曲を用いることもある。例えば《第14番「郷愁」》では、音楽家のショパンを題材に、ワルシャワの聖十字架教会からパリのペール・ラシューズ墓地までトライアスロンで走破した。ほかにも、凍った海の上で砕氷船の直前を歩く《第8番「心配しなくても大丈夫」》や、北極点に立ち24時間かけて地球の自転と逆に回転する《第9番「世界と一緒に回らなかった日」》といった作品がある。本展では、過去10年間の作品から7点を選んで展示した。なかには日本人には理解し難いユーモア感覚の作品もあり、とまどったが、それも含めて貴重な機会だった。美術大学が運営し、アートセンター的な活動も行なう京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAならではの企画と言えるだろう。

2016/02/23(火)(小吹隆文)

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ジョン・ウッド&ポール・ハリソン「説明しにくいこともある」

会期:2015/11/21~2016/02/21

NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)[東京都]

英国の二人組による身体を使うパフォーマンスや建築的なセットを使う映像作品の数々を紹介する。シンプルな仕掛けによって、人と人、あるいは人とモノや、モノとモノの不思議で笑える関係性は、田中功起を想起させる。

2016/02/18(木)(五十嵐太郎)

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第8回恵比寿映像祭「動いている庭」

会期:2016/02/11~2016/02/20

ザ・ガーデンホール、ザ・ガーデンルーム、恵比寿ガーデンシネマ、日仏会館、STUDIO38、恵比寿ガーデンプレイスセンター広場ほか[東京都]

第8回恵比寿映像祭「動いている庭」へ。ロバート・スミッソンのマンハッタンを周遊する浮庭とアスファルトを傾斜に流す作品は、個人的に好みである。銅金裕司のアリジゴク砂絵は、その小さな箱庭感が日本ぽい。中谷芙二子の霧とクワクボリョウタの影の作品は、もはや鉄板である。一方、ビデオアース東京は、アートの名のもとに弱者=橋の下のホームレス男性を突撃取材する映像であり、昔の作品だが、微妙だと思う。

2016/02/17(水)(五十嵐太郎)

レクチャーパフォーマンス・シリーズ vol.2 チェン・ジエレン「残響世界」

会期:2016/02/16~2016/02/18

SHIBAURA HOUSE[東京都]

最初にハンセン病患者の収容施設の歴史に台湾と日本を重ねたレクチャーを行なう。チェン・ジエレンは、植民地、資本主義における社会的な弱者は彼らだけでなく、現代の派遣労働者もそうだと指摘する。その後、カーテンを開けると、シバウラハウスの透明な建築を生かし、隣のビル屋上でパフォーマンスが行なわれた。続いて彼の映像作品を鑑賞する。やはり、作家なのだから当たり前だが、映像そのものが語ることは大きい。

2016/02/16(火)(五十嵐太郎)

映画『もしも建物が話せたら』先行上映イベント 第2回:建築系ラジオ公開収録! シネマアーキテクチャー番外編「建築を声で届ける意義」

会期:2016/02/15

渋谷アップリンクFACTORY[東京都]

アップリンクにおいて、映画『もしも建物が話せたら』のトークイベントを行なう。これは30分弱×6作品のオムニバスである。制作総指揮のヴェンダースによる《ベルリン・フィルハーモニー》に始まり、《ロシア国立図書館》、《ソーク研究所》、《ハルデン刑務所》、《オスロ・オペラハウス》、《ポンピドゥー・センター》を異なる監督が撮影したものだ。いずれも手法が異なり、それらを比較すると興味深い。カリム・アイノズ監督による《ポンピドゥー・センター》は、建築がわれわれを冷徹に見つめ、ボヤく感じだし、俳優のロバート・レッドフォードが監督したソークは社会派ドキュメンタリー風、そしてヴェンダースによるフィルハーモニーは人を追いかけながらカメラが動く。映画を見ながら、建物が話すような感じの建物解説の音声サービスがつくれるのではないかと思う。

2016/02/15(月)(五十嵐太郎)