artscapeレビュー
その他のジャンルに関するレビュー/プレビュー
リニモ沿線ミュージアムウィーク 記念文化フォーラム
会期:2011/10/29
愛知県陶磁資料館 地下講堂[愛知県]
愛知県陶磁資料館にて、「アートの国際展からまちなか展開へ」の講演を行う。これにあわせて、リニモ沿線ミュージアムウィークの関連施設をまわる。長久手町郷土資料室では伝統芸能、棒の手の映像を楽しみ、トヨタ博物館では乗れる状態で保存するコレクションに圧倒され、名都美術館では冬の絵と美人画を鑑賞し、愛・地球博記念館では万博の痕跡を見出しつつ、アトリエ・ワンの建築も見学した。会場となった谷口吉郎設計の愛知県陶磁資料館は、過去の陶磁を通じて、世界旅行するという見たてのセクションがある一方、アートに近い現代の焼き物を陳列するスペースも設けられていた。「資料館」という名前だと損かもしれないと思うほどに、膨大なコレクションを誇る。奥深いエリアである。
写真は上から、
トヨタ博物館
アトリエワン《地球市民交流センター》
2011/10/29(土)(五十嵐太郎)
鉄道芸術祭 vol.1「西野トラベラーズ 行き先はどこだ?」
会期:2011/10/22~2011/12/25
アートエリアB1、中之島デザインミュージアムde sign de >、Antenna Media他[大阪府、京都府]
京阪電車の駅構内という珍しい立地のアートエリアB1。その特徴を生かすべく、大阪、京都にまたがる同社沿線の3カ所で展覧会を行なうユニークな企画が行なわれている。メインアーティストの西野達は、アートエリアB1内に巨大な沿線絵地図、街灯で家具などを串刺しにしたオブジェ、4室の仮設インターネットカフェなど、インパクトの強い作品を披露した。他の2会場では漫画家の横山裕一が個展を開催している。また、アートエリアB1に隣接する地下駐輪場では、contact Gonzoらのパフォーマンスも。さらに12月初旬には、西野と漫画家のしりあがり寿による船上トークや、ホーメイ歌手の山川冬樹とダンサーの山川キムによる貸し切り電車内パフォーマンスも予定されており、話題が尽きることはない。鉄道会社とアートの先駆的なコラボレーションとして、要注目である。
2011/10/26(水)(小吹隆文)
あいちトリエンナーレ2013 記者会見/シンポジウム「美術と身体 建築と場所」
会期:2011/10/21
愛知芸術文化センター 12F アートスペースA[愛知県]
愛知芸術文化センターにおいて、筆者が芸術監督をつとめる、あいちトリエンナーレ2013のコンセプトと最初の作家発表を行なった。タイトルは、「揺れる大地─われわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活 Awakening─where we are standing ?:earth, memory and resurrection」である。最初の作家発表は、青木野枝、石上純也、奈良美智、名和晃平の4名。主に場所や空間系の作家、あるいは先端的な表現を行なう作家として選んだ。3.11に絡む記憶や復活につながるテーマを作家が展開するには、まだ時間がかかるだろう。この日は、午前の有識者への説明、実行委員会での承認、記者会見、夕方の浅田彰とのトークイベントと、合計4回主旨を説明した長い1日となった。浅田は相変わらず、膨大な知識と反射神経に裏付けられた圧倒的な言語パフォーマンスによって会場を圧倒させた。
2011/10/21(金)(五十嵐太郎)
森美術館「メタボリズムの未来都市展:戦後日本・今甦る復興の夢とビジョン」
会期:2011/10/20
アカデミーヒルズ49[東京都]
若手建築家とメタボリズムの関係を探るシンポジウムの第2弾である。 藤本壮介は海外でよくメタボリズムとの関係を質問されるが、単位を集積したデザインをしつつも、人がどう振る舞うかに関心があるという。藤村龍至は超線形論と生命の比喩、大胆な構造など、デザインにおける類似性を説明した後、建築家2.0について語った。
2011/10/20(木)(五十嵐太郎)
伝統芸能バリアブル
会期:2011/10/16
京都芸術劇場 春秋座[京都府]
キュピキュピの主宰者で、映画監督としても活躍する石橋義正が、キュピキュピと伝統芸能を融合させるユニークな試みを行なった。演目の構成は、ダンス、音楽、映像(2日と3日)、照明が融合したキュピキュピ特有のパフォーマンスと、能楽、長唄、浪曲が交互に登場する形式で、両者をつなぐ役割も兼ねて「打打打団 天鼓」の和太鼓演奏が節目ごとに行なわれる。もちろん、伝統芸能の場面でも照明やスモークなどの演出があり、どちらかといえばキュピキュピの世界に伝統芸能を引き込んだ作品であった。生粋の伝統芸能ファンの評価はわからないが、元々雑食性だったキュピキュピの世界が、この公演を機に更に広がるとすればウェルカムだ。特に3D映像は効果的で、今後も多用される可能性が高い。なお、本公演は「KYOTO EXPERIMENT 2011 京都国際舞台芸術祭」のプログラムである。
2011/10/16(日)(小吹隆文)