artscapeレビュー
その他のジャンルに関するレビュー/プレビュー
「つくるが生きること」東日本大震災復興支援プロジェクト展
会期:2012/03/11~2012/03/25
3331 Arts Chiyoda 1Fメインギャラリー[東京都]
3331アーツ千代田の「つくることが生きること」展の最終日、トークイベントのために訪れた。これは東日本大震災復興支援プロジェクト展であり、陶器浩一研究室+高橋工業が気仙沼に建設した竹による集会所や椿昇のクリーンエネルギーを提案する作品など、約70組の建築家、アーティスト、デザイナー、企業、NPOの活動を紹介する。建築に関しては、「311ー東日本大震災の直後、建築家はどう対応したか」展とかぶる事例も多いが、むしろ建築以外のプロジェクトが混ざっていることが特徴だろう。危機的な状況に対して、多様な主体がそれぞれの特性を生かしたユニークなプロジェクトを展開したことがうかがえる。
2012/03/25(日)(五十嵐太郎)
東日本大震災復興支援プロジェクト展「つくることが生きること」
会期:2012/03/11~2012/03/25
3331 Arts Chiyoda[東京都]
東日本大震災の復興に向けて各地で活動している支援プロジェクトをまとめて紹介する展覧会。単独のアーティストをはじめNPO団体、建築家チーム、大学研究室、企業などを含めて約70組による活動が一挙に展示された。会場には、プロジェクトの活動を記したパネルや写真、映像が密集しており、その圧倒的な情報量の迫力がすさまじい。一つひとつの声に耳を傾けることが難しくなるほど、こちらに発信する熱意がひたむきなのだ。その困難を回避するためだろうか、復興リーダーへのインタビュー映像はモニターを縦に設置して、来場者がその前に座ると、目線がちょうど合うように工夫されていた。復興のために尽力しているのが、まさしく一人ひとりのヒトであることを強調していたようだ。復興が必然的に長期的なプロジェクトになる以上、このような展覧会も持続的に開催されることが期待される。
2012/03/18(日)(福住廉)
ようこそ! サン・チャイルド
会期:2012/03/11
阪急南茨木駅前(南側)[大阪府]
彫刻家のヤノベケンジが制作した全長6.2メートルの大作《サン・チャイルド》が大阪府茨木市の阪急南茨木駅前に恒久設置されることになり、その除幕式とイベントが行なわれた。《サン・チャイルド》は昨年10月に万博記念公園の《太陽の塔》の前で初お披露目され、東京の岡本太郎記念館でも展示されている。その姿はヤノベの代表作《アトムスーツ》を着た子どもで、ヘルメットを脱いで放射能が去った未来を見据えている。ポーズはミケランジェロの《ダビデ像》から引用しているが、これはダビデが巨大な敵ゴリアテを倒したエピソードに倣ったものだ。また設置場所の南茨木駅前はモノレールで万博記念公園と繋がっており、ヤノベの創作の原点である1970年大阪万博と《太陽の塔》にリンクしている。当日は、午前中に吹奏楽のファンファーレ~除幕式~市長挨拶といった式典が行なわれ、午後からはお笑い芸人で美術コレクターとしても知られるおかけんたの司会により多数のイベントが行なわれた。また、地元商店会の屋台が多数出店したこともあり、駅前ロータリーはラッシュアワー並みの大入り満員となった。地域の活性化にも貢献したことで、《サン・チャイルド》のお披露目は大成功だった。今後長きにわたって地元のシンボル的存在になるであろう。
2012/03/11(日)(小吹隆文)
いまは冬
会期:2012/02/11~2012/03/02
渋谷オーディトリウム[東京都]
RKB毎日放送のディレクター、木村栄文によるドキュメンタリー番組。1972年に制作された35分の短編で、「地の塩の箱」運動の主催者であり詩人の江口榛一に密着した。鍵のない募金箱を全国に設置して、豊かな者は金銭を投入し、貧しい者はそこから借り受けるという運動に身を費やす江口をとらえた映像を見ると、その理想と現実のはざまを、あくまでもたくましく生きようとする姿に圧倒される。それが、例えば人力飛行機というロマンを追究する男を記録した《飛べやオガチ》にも通じていることを思えば、木村栄文の眼を離さなかったのは、おそらくそのようにして両極のあいだで揺れ動きながらも、明るく、壮健に前に進むことを自らに課した人間の生き様だったのではないかと思えてならない。そのように振舞いながらも、どこかで哀愁や憂いを感じさせる人間を、木村は撮りたかったのだろう。
2012/02/27(月)(福住廉)
トリエンナーレスクール 世界の国際展シリーズ1「ヴェネチア・ビエンナーレでの出来事」
会期:2012/02/25
トリエンナーレスクールとは、あいちトリエンナーレ2013に向けて、いろいろな勉強会を行なう企画である。五十嵐が進行役となり、ヴェネチアビエンナーレ国際美術展2011の日本館コミッショナーを担当した国立国際美術館の学芸員、植松由佳を招き、「ヴェネチア・ビエンナーレでの出来事」について語ってもらう。このときの出品作家は、束芋である。筆者は国際交流基金の国際展事業委員会のメンバーとして、コミッショナー選定のコンペに関わっており、束芋のプランが使いにくい日本館の内部空間をうまく使いこなせるか気になっていたが、中心に井戸に見立てた場所をつくり、見事に活用していた。トークでは、途中からアートとビエンナーレをめぐる資金やお金などの話題が中心になり、あまり表にでない話も聞くことができた。
2012/02/25(土)(五十嵐太郎)