artscapeレビュー
パフォーマンスに関するレビュー/プレビュー
パーセル作曲 オペラ「妖精の女王」
北とぴあ さくらホール[東京都]
会期:2015/12/11、12/13
歌によって物語が推進していく普通のオペラと違い、演劇と楽曲が交互に出現する形式なので新鮮である。しかも観念的な内容の歌詞のとき、物語の進行は止まってしまう。宮城聰の演出だが、シェイクスピアの同じ原作をもとにした演劇、F/T『真夏の夜の夢』において彼が見せた演出と俳優の顔ぶれは、おおむね同じだった。そこに今度はパーセルの古楽を挿入しつつ、指揮者や演奏者ともメタ的に絡む。ただし、目玉のエマ・カークビーの出番は思っていたよりも少ない。
2015/12/13(日)(五十嵐太郎)
RooTS Vol.03 寺山修司生誕80年記念「書を捨てよ町へ出よう」
会期:2015/12/05~2016/12/27
東京芸術劇場シアターイースト[東京都]
藤田貴大・演出『書を捨てよ 町へ出よう』@東京芸術劇場。ライブで解体と再構築を続け、次々と空間が変容していく舞台装置、実験的な映像や生ドラムによる演奏の挿入、ファッションショーのようなセンスのある衣装、メタと解釈、存在感ある俳優など、めまぐるしい勢いで進行する。ただし、あまりに内容を断片化しており、もとの寺山修司の映画を知らないと、物語としてはついていけないかもしれない。
2015/12/11(金)(五十嵐太郎)
ゴドーを待ちながら
会期:2015/12/10~2016/12/14
シアターΧ[東京都]
勅使川原三郎/佐東利穂子「ゴドーを待ちながら」@シアターカイ。勅使川原の軽妙なしゃべりの録音を流しながら、本人が身体を動かす。ベケットの原作どおり、人参の話などもあるのだが、勅使川原の語りはまるで寄席のよう。そして背を向けて立つ佐東。動かない、動かない。が、たえず動く勅使川原とは対照的に不動の存在感を示し続ける。
2015/12/10(木)(五十嵐太郎)
KING CRIMSON THE ELEMENTS OF KING CRIMSON TOUR in JAPAN 2015

会期:2015/12/07~12/10、12/16~12/17
Bunkamuraオーチャードホール[東京都]
フロントにドラム三人を配するという見たことがないセッティングだったが、それぞれ演奏のキャラが違い、音もクリアで、ドラマチックな立体感を生み出す。名曲の数々はいま聞いても前衛だ。ある意味で、時代を超えたプログレッシブな楽曲ゆえに、古さを微塵も感じさせない。とすれば、ロックは1960年代に産声を上げると同時に、いきなり終わりが示されていたのだろうか。彼らの年齢を考えると、これでキング・クリムゾンはもう聴けないかもしれない。今年の終わりはホワイトスネイクによるディープ・パープルの楽曲演奏、大御所のオジー・オズボーンが登場したオズフェス、ラウドパークのスレイヤーやメガデス、デフ・レパード、レッド・ドラゴン・カーテルによる「月に吠える」などがあって、往年のロックが目白押しだった。
2015/12/09(水)(五十嵐太郎)
フェスティバル/トーキョー15 飴屋法水「ブルーシート」

会期:2015/11/14~11/15、12/04~12/06
豊島区 旧第十中学校グラウンド[東京都]
福島にいた役者たちが、震災で校舎が使えなくなり、しばらく間借りで過ごしたあと、仮設の教室暮らしをしたことは、東北大学で筆者が経験したこととまったく同じプロセスだと思い出しつつ、屋外の寒さを抱きしめる。空間としては、運動場を使うために、向こうの道路まで見える、異様な奥行きをもった舞台であり、横長の舞台と観客席が特徴だった。空に消えていくシャボン玉、ラストの椅子取りから逃げろの連呼までのむき出し若い身体のパワーが炸裂する作品だった。
2015/12/07(月)(五十嵐太郎)


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