artscapeレビュー
パフォーマンスに関するレビュー/プレビュー
KISS 来日公演
日本ガイシホール[愛知県]
KISSの来日公演に行く。ジーン・シモンズやポール・スタンレーなどのオリジナル・メンバーは相当の年齢になってきたが、メイクのおかげで年齢を感じさせない。が、人間でないキャラを演じているために、ワルだったのが、いいオヤジになった風にふるまうモトリー・クルーのニッキー・シックスのように、ヒューマンなコミュニケーションを観客と行なうのも難しい。ウリ・ジョン・ロートの演奏を聴いた直後だと、技術はどうしても劣ることが気になるが、彼らの醍醐味はむしろユニークな楽曲、そして超ド派手なステージだろう。この趣向は、モトリー・クルーのライブに連なるものだ。ラストの「ロックンロール・オールナイト」は、紙吹雪が舞うのだが、呆れるようなほどの量で、大笑い。服やカバンのポケットも、いっぱいに紙が入るくらいである。
2015/02/23(月)(五十嵐太郎)
ULI JON ROTH SCORPIONS 40th ANNIVERSARY TOUR OF JAPAN 2015
中野サンプラザ[東京都]
中野サンプラザにて、スコーピオンズ時代を演奏した、ウリ・ジョン・ロートのライブに行く。昔バンドでコピーした曲が幾つか演奏されたので懐かしい。仙人と呼ばれるウリだが、歳をとり、仙人らしい風貌に磨きがかかった。静動と緩急の激しい楽曲の構成、アタックの強いピッキング、粘るフレーズ、色気のある音色、トリプルのギター・オーケストレーションを2時間半楽しむ。ギターの音がデカ過ぎて、ドラムがあまり聞こえない(笑)。
2015/02/20(金)(五十嵐太郎)
プレビュー:PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015

会期:2015/03/07~2015/05/10
京都市美術館、京都文化博物館、京都芸術センター、堀川団地(上長者町棟)、鴨川デルタ(出町柳)、河原町塩小路周辺、大垣書店烏丸三条店[京都府]
京都市美術館と京都文化博物館を主会場に、京都市内の7会場で開催される大規模なアートイベント。河本信治(元京都国立近代美術館学芸課長)が芸術監督を務め、蔡國強、サイモン・フジワラ、ドミニク・ゴンザレス=フォルステル、笠原恵実子、森村泰昌、ピピロッティ・リスト、田中功起、ヤン・ヴォー、やなぎみわなど約40組のアーティストが参加する。あえて統一テーマを設けず、現場で自律的に生成されるサムシングに重きを置いているのが特徴で、昨今流行りの地域型アートイベントとは明らかに一線を画している。また、会期中に市内の美術館、ギャラリー、アートセンター等で行なわれる展覧会や企画と幅広く連携しているのも特徴で、3月から5月初旬にかけての京都は、「PARASOPHIA」を中心としたアートのカオス的状況になるはずだ。
2015/02/20(金)(小吹隆文)
岡崎藝術座『+51 アビアシオン, サンボルハ』

会期:2015/02/13~2015/02/20
STスポット[神奈川県]
役者が3人。聞いて、記憶して、すべての言葉を抱えて芝居の進行を追いかけるには多すぎる台詞。役者たちは、そんな台詞を口にしていきながら、観客の心に、ペルー、メキシコ、沖縄という街の景色を浮かび上がらせていく。役者たちがある感情を宿したキャラクターに扮し、その感情を闘わせるという(よくある)芝居ならば、理解はしやすい。しかし、神里雄大の書く台詞は、詩のようでもあり、ドラマのナレーションのようでもあり、とはいえそれらのどちらともいえない、語り手の身体的な熱も帯びていて、不思議な角度で観客に迫ってくる。「演劇を通じ、乳首を出した社会を見つめ」など詩のような言葉は、すぐには飲み込めず、だから「乳首」という言葉が異物として浮遊する。それと、場所やものの固有名が目立つ。「那覇」「久高島」「大宜味村」など場所の固有名は、「タブレット」「ダークスーツ」「チェーホフ」「失神」などの名詞とともに混ざりあい、独特の情景をつくり、心を満たす。話の大筋は、神里本人を連想させる主人公が「メキシコ演劇の父」と称された日本人・佐野碩と、夢幻的な仕方で沖縄で出会い、また金融業で財を成した神内良一のエピソードがペルーの地で語られるというもの。この三者の関連は、物語としては掴みにくく、またすべての舞台上の出来事を線で結ぶようなことはできそうにない。その点では難解だろうし、易しい芝居ではない。けれども、ストレートにずしんと言葉が届く感じがあって、この感じは見過ごせない。声を発するひとの言葉のリズム、ろれつに、聞き手として体を委ね、ついていく。ついていけなくなるところもあり、またそれもふくめて、声の主体に触れることを観客は促される。細かい台詞のなかの葛藤や社会や歴史の問題以上に、そのことにこの劇の倫理的側面を感じた。
2015/02/18(水)(木村覚)
「大友良英 音楽と美術のあいだ」展
会期:2014/11/22~2015/02/22
NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)ギャラリーA[東京都]
ICCの大友良英「音楽と美術のあいだ」展へ。YCAM委嘱作品の即興によるカルテット映像インスタレーションがメインである。リアル映像でなく、あえてシルエットで見せることで、逆にハコの中に人がいるような存在感を生む。他に階段のギター・インスタレーション作品。いずれも音を体験するために、こちらの動きを誘発する。展示の最後は、音楽と美術のあいだに関するテキスト群だった。展示と公演の違いとして、お金を払ってくる観衆の存在を音楽の方が強く意識しているという指摘にうなずく。
2015/02/17(火)(五十嵐太郎)


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