artscapeレビュー

田河敬太 個展 in the room─ひきこもらねば─

2014年05月01日号

会期:2014/04/08~2014/04/13

KUNST ARZT[京都府]

巻貝から人間の足が露出した小さな木彫作品で知られる田河敬太。彼の作品の背景には、自身が進学のため奄美大島から関西に移り住んだ際に感じた孤独感・疎外感と、かつて彼の身近に引きこもりがいたことが挙げられる。出品作品は木彫7点と巨大な金属製の巻貝が1点で、後者に作者自身が潜り込み、会場に置かれたパソコンを介して観客とコミュニケーションを取るパフォーマンスも行なわれた。画廊オーナーから聞いたところ、巻貝の内部は意外と心地よいらしい。子どもの頃に押入れで遊んだ感覚に近いのだろうか。筆者自身は引きこもりに関して無知だが、彫刻にせよパフォーマンスにせよ、足が露出している点にある種のサインを感じた。彼らは完全に外部との接触を拒否しているわけではない。むしろ望んでいるのでは、と。

2014/04/08(火)(小吹隆文)

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