内藤廣《富山県美術館》:artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

2018年08月01日号
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内藤廣《富山県美術館》

2017年12月15日号

富山県美術館[富山県]

2017年度のグッドデザイン賞において建築ユニット長を担当し、審査に携わったのだが、受賞展で審査レビューを行なったとき、地方の建築ががんばっていることに気づかされた。今回、ベスト100に入った建築7作品は、陸前高田、福山、太田、奈良、天理、熊本の三角港など、すべて東京以外であり、しかも駅前が多かったからである。これは逆に言うと、東京から面白い建築があまり出ていないことを意味する。トークの4日後に《富山県美術館》を訪れ、改めて地方の時代を痛感した。これは内藤廣の設計だが、道路側のファサードは大きなガラスの開口があり、一見、彼らしくないデザインのように思われる。だが、川や運河環水公園に隣接する場所のポテンシャルを生かしていること、富山の産業に縁が深いアルミニウムや杉材などを活用したテクスチャーのモノ感、土を盛るなどランドスケープ的な外構のデザインなどにやはり内藤の個性が感じられる。

まず最初に先行オープンし、多くの人が訪れたというオノマトペの屋上に登ってみた。ここは無料ゾーンだが、佐藤卓がデザインしたユニークな遊具群は本当に集客力がある。3階に降りると、レストランには行列ができており、ここでランチを食べようというもくろみはかなわなかった。空間の特徴としては、外部から複数のアクセスを設けていること、展示室の周囲を自由に歩けること、視線が貫通し、眺望を得られる廊下の存在などによって、立体的な《金沢21世紀美術館》のようにも思えて興味深い。いずれも高い集客を誇る美術館だが、エレベータ、エスカレータ、階段、そして屋外階段などのルートから屋上庭園に誘う富山の仕掛けはお見事である。なお、常設展示は、アートとデザインをテーマに掲げるように、椅子やポスターの名作コレクションを明るい展示室に配する一方、富山生まれの瀧口修造コレクションを閉じた箱に入れることで、メリハリを効かせている。

2017/11/09(木)(五十嵐太郎)

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