2017年06月15日号
次回7月3日更新予定

artscapeレビュー

2017年03月15日号のレビュー/プレビュー

藤本壮介《せとの森住宅》

twitterでつぶやく

[広島県]

藤本壮介による《せとの森住宅》へ。二戸を合体させてひとつの建築とするニコイチのため、日本としては大きな家型のヴォリュームが13棟、造成地にランダムな方角で並べられている。迷いがなさそうに見えるのが、藤本さんらしい。もっとも、社宅ゆえに、塀や垣根がなく、あいだを通り抜けられる開放的なレイアウトが可能になったと思うが、通常はなかなか実現させるのが難しい。

2017/02/23(木)(五十嵐太郎)

中村拓志《Ribbon Chapel》《エレテギア キッチン&ダイニング》

twitterでつぶやく

[広島県]

続いて、ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道へ移動。中村拓志が設計した二重螺旋の構造による《リボンチャペル》を見学する。男女がそれぞれの階段を登り、頂上で2人が出会い、一緒に降りるという演出だ。改めて、これだけ最小の建築で、BCS賞を受賞したとは快挙である。そして浮かぶような屋根のレストランの《エレテギア》(これは昨年のJCDデザインアワードにおいて2位)、玄関まわりなどのリノベーションを見学する。もともとは船乗りを対象としたホテルだったが、ツーリズムやウエディングに力を入れ、現場では、スイートルームなど、さらにホテルの改造を進めていた。

写真:左=《Ribbon Chapel》、右上4枚=《エレテギア キッチン&ダイニング》、右下2枚=ホテルの改造の様子

2017/02/23(木)(五十嵐太郎)

神勝寺《松堂》《洸庭》

twitterでつぶやく

[広島県]

福山駅から神勝寺へ。まず入り口で藤森照信が設計した《松堂》が出迎える。屋根のてっぺんに赤松をのせたテクスチャー建築であり(すなわち、テクトニックではない)、ほっこりさせる。神勝寺のエリアはかなり広く、1970年代のコンクリート寺院から古建築の移築や石山寺多宝塔の写しなどを散りばめる。
最後に名和晃平+SANDWICHによる《洸庭》を見学した。ブリッジを渡り、ダイナマイトで砕いた岩を並べた石の海原をぐるぐるまわって、ピロティで支えられた「山あいに浮かぶ舟のような建築」に到達する。屋根以外の表面がすべて杮葺きの建築であり、窓がない。下から船底を見上げる空間体験もきわめてユニークだ。そして《洸庭》の内部に驚く。ドアを抜けると、真っ暗闇で何も見えない。まるで演目「VESSEL」の冒頭のようだ。かすかな光源が揺れる水面に煌きながら、コンピュータではつくれない、複雑な映像的効果を生み出す。およそ25分のプログラムは、世界の創造のようだ。外部ではなく、内部に無限の海原を抱えた建築である。

写真:左上2枚=藤森照信《松堂》左下3枚=神勝寺敷地内、右上5枚=名和晃平+SANDWICH《洸庭》、右下=神勝寺模型

2017/02/23(木)(五十嵐太郎)

和田淳展 私の沼

twitterでつぶやく

会期:2017/11/23~2017/01/29

横浜美術館アートギャラリー1[神奈川県]

ギャラリーの壁5面をスクリーンにしてアニメを上映。沼の前でなにやらおしゃべりするおばさん、ネコヤナギの木の上で遊ぶネコ、動き回る太った赤ちゃん、沼で魚を捕る少年たち、そしてなぜか絵具の筆触、といった関連なさそうなモチーフの映像が同時進行して、同時に終わる。それぞれがどんなストーリーで、お互いどのように関連しているのかを知るには5回見る必要があるが、そんなにヒマではない。

2017/02/24(金)(村田真)

篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN

twitterでつぶやく

会期:2017/01/04~2017/02/28

横浜美術館[神奈川県]

平日の昼間なのにけっこうな混み具合。チケット売り場の前には列ができている。横浜美術館としては珍しいことだ。エスカレータで昇って正面の壁に、ポスターや宣材に使われたジョンとヨーコの接吻写真。よく見るとふたりともあんまりやる気なさそうだ。最初の部屋は暗い。壁が黒くて写真(巨大プリント)にだけ照明が当てられている。モデルは美空ひばり、夏目雅子、三島由紀夫、渥美清らで、この部屋のテーマは「ゴッド」。みなさん死者ですね。怖いのは美空ひばりの写真で、本人の右に大きな仏壇、左上には母や弟ら親族の遺影が入った黒縁の額が写ってる。画中画ならぬ写真中写真というか、この部屋の黒い壁が一種の黒枠みたいなもんだから、遺影中遺影というべきか。イエイ! ちなみにひばりの写真は粒子の粗さが目立つが、1970年に自害した三島はもちろん、ひばりも夏目もデジタルカメラで撮られたことはなかったはず。彼らはみんな光学時代の神々なのだ。だからなんだ? といわれても、へえそうなんだ! と納得するだけですが。ともあれ、これ以降の部屋に比べても、この部屋は死臭に満ちている。
この後、ピンク・レディー、北野武、南沙織、安室奈美恵、長嶋茂雄、山口百恵、檀蜜ら「スター」のポートレートが続き、歌舞伎とディズニーランドを撮った「スペクタクル」の部屋へ。これは華やか、このケレン味がいちばん紀信らしいかも。これを見ると蜷川実花が紀信の正統な後継者であることがわかる。ひとつ提案だが、ディズニーランドの登場人物や、次の部屋の大相撲の関取たちを撮ってつなげたパノラマ的写真(「シノラマ」なんて呼んでいた)は、継ぎ目が歪んで不自然なので、3曲か4曲の屏風仕立てにしたらどうだろう? 似合うと思う。その次が、大相撲のほか、宮沢りえ、樋口可南子らのヌードがある「ボディ」の部屋で、ここがいちばん混んでいた。そして最後が「アクシデンツ」と題して、被災地を背景にした名もなき被災者たちのモノクロポートレートの部屋。前室の混雑がウソのようにみんなそそくさと去っていく。実際この最後の部屋はとってつけたようにしか感じられなかった。

2017/02/24(金)(村田真)

artscapeレビュー /relation/e_00038107.json s 10133337

▲ページの先頭へ

2017年03月15日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ