artscapeレビュー
長谷川直美 展
2012年11月15日号
会期:2012/10/22~2012/10/27
Oギャラリーeyes[大阪府]
愛知県生まれの長谷川は、これまでおもに名古屋や東京で発表をしており、今展は私も初めてその作品を見る機会だった。旧約聖書に書かれた物語や以前作家が訪れたことのある沖縄、アウシュヴィッツの光景などを題材にしたその絵画には、《a prayer》というタイトルがつけられたものが数点あり、悲しみに暮れる人や祈りの場面が描かれている。何故人間は存在するのかという問いかけにも始まる重いテーマを持つ内容だったのだが、全体に絶望ではなく、ごく普通に暮らす個人という、ひとりの人間を慈しむ眼差しをひしひしと感じる絵画で穏やかさにも溢れた魅力的な作品だった。
2012/10/27(土)(酒井千穂)