artscapeレビュー

玉本奈々 向き合う時間

2014年04月01日号

会期:2014/02/28~2014/03/12

枚方市立サンプラザ生涯学習市民センター 市民ギャラリー[大阪府]

画面に布やガーゼ、衣服などを貼り込み、鮮烈な色彩とともに表現することで、生命感あふれる空間をつくり出す玉本奈々。彼女の大規模な個展が、現在の居住地である大阪府枚方市の公立ギャラリーで行なわれた。枚方市では、昭和14年3月1日に旧陸軍火薬庫の爆発事故が起きたことから、同日を「枚方市平和の日」に定めており、毎年さまざまな記念事業が行なわれている。本展もその一環として企画されたが、展覧会自体にイデオロギー色は薄く、彼女の作品に備わる生命礼賛的な要素をクローズアップしたものとなった。出品作品数は36点。新作、近作が中心だったが2000年代初頭の初期作品も含まれており、モチーフや色使いなど彼女の画業の変遷が伝わる構成となった。玉本作品を見慣れない者にとって、格好の入門編となったであろう。また、本展のために地元の小中学校、養護学校と行なったワークショップの記録映像と作品も展示されていた。玉本自身、この経験には感じるところがあったようで、今後の制作になんらかの影響を与えるかもしれない。

2014/02/28(金)(小吹隆文)

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