artscapeレビュー
誰もみたことのない内海信彦 展
2014年04月01日号
会期:2014/03/03~2014/03/08
Gallery K[東京都]
1953年生まれの美術家・内海信彦が20代に描いた絵画作品を見せた個展。いずれも1970年代前半、美学校の中村宏油彩画工房でフランドル技法を学んでいた頃の作品だという。
絵画のモチーフは天変地異。大空を縦横無尽に走る雷やこちらに押し寄せる大津波、山頂から溢れ出る灼熱の溶岩。大地の裂け目は地震だろうか。赤いマントを羽織って佇む人物の顔が隠されているところも、よりいっそう不安を煽る。
しかし、そうした予言的な主題より何より注目したのは、画面の保存状態がきわめて良好だった点である。ひび割れはほとんど見当たらず、発色も当時と変わらないという。中村宏による堅実な指導のおかげで、これらの絵は40年という時の流れに逆らい続けているのだ。
はたして昨今の絵画は、同じように時間に抵抗する堅牢さを持ちえているのだろうか。
2014/03/07(金)(福住廉)