artscapeレビュー

本郷仁 展 both sides of it

2014年04月01日号

会期:2014/03/08~2014/03/29

CAS[大阪府]

本郷仁は、視覚や知覚をテーマにしたガラス造形を手掛けている作家だ。本展では2室で展示を行なった。1室は装置型作品、もう1室は立体作品だったが、筆者が惹かれたのは前者である。それは、3本のアームの先に光源を取り付けた巨大な機械がゆっくりと回転し、部屋の中央に吊られた鏡を照らすというもの。壁面には光源から放たれた光と鏡の反射光が映るのだが、それらはシンプルな円形や楕円形だけでなく、日食などの天体現象を思わせる形態など、実に多様な表情を見せてくれるのだ。また、装置の精度が高いのか、モーター音などのノイズがほとんど聞こえないことにも驚かされた。無音の空間で繰り広げられる、人工物なのに神秘的な光のショーだった。

2014/03/10(月)(小吹隆文)

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