artscapeレビュー
舟越桂新作版画展 2017
2017年07月01日号
会期:2017/06/10~2017/07/02
ギャラリー白川[京都府]
舟越桂が彫刻とともに制作し続けているのが銅版画である。彼は1989年にアメリカの版元から依頼を受けたのを機に版画制作を始め、以後3、4年ごとに新作を発表している。本展の会場であるギャラリー白川は、1989年から今日までの舟越版画をフォローしており、ファンのあいだでは定評のある画廊だ。本展ではメゾチントの新作6点と画廊コレクションを合わせた22点が展示された。舟越がメゾチントを手掛けるようになったのは前回の個展(2015)からだ。彼はメゾチントの彫りの感覚が木彫に近いと考えており、今後もこの技法で制作を続ける可能性が高い。それよりも本展で気になったのは、新作のなかにスフィンクスがいなかったことだ。長年にわたり舟越作品の主要なモチーフだったスフィンクスが描かれなかったのは、偶然なのか確信犯なのか。後者だとしたら、今後の彼の展開が楽しみだ。
2017/06/16(金)(小吹隆文)