artscapeレビュー

Toyosaki Lost And Found~豊崎遺失物取扱所~

2017年07月01日号

会期:2017/05/13~2017/05/28

gallery yolcha[大阪府]

大阪・豊崎地区の無人古民家を解体したら、大量のコラージュ作品が発見された。この作者不明、持主不明の作品が本展の主役である。最初にこの話を聞いたときは、展覧会を演出するフィクションだと思った。会場でギャラリストから事実であると聞き、大いに驚いた次第だ。作品の選定はコラージュ技法を用いる2人の作家、西川亮太と西脇衣織が担当。この謎の作品から着想を得た2人の新作も併せて展示された。謎の作品は大量にあり、保存状態は良好、肝心の表現力もまずまずだった。展示は2室あり、1室では壁面を埋め尽くすように作品が並べられ、もう1室では額装した作品をバランスよく配置していた。そこには少なくとも3人の作品があるはずなのに、筆者には区別がつかない。西川と西脇は敢えて作風を寄せたのだろうか。真意は分からないが、会場の一体感を見る限り、その判断は正解だと思う。昭和時代に制作されたと思しき謎めいたコラージュ作品と、平成の作家そしてギャラリーによる、時空を超えたコラボレーション。規模こそ小さいが、ミステリアスでロマンチックな好企画だった。

2017/05/22(月)(小吹隆文)

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