artscapeレビュー
ヨコオ・ワールド・ツアー
2017年07月01日号
会期:2017/04/15~2017/08/20
横尾忠則現代美術館[兵庫県]
横尾忠則がこれまでに経験した世界各地への「旅」が、デザイナー&アーティストとしての活動にいかなる影響を及ぼしたかについて探る展覧会。展示品は、作家によるジャンルを超えたさまざまな作品に加えて、個人的な旅行記録や収集品、世界の著名なミュージシャンと交流した私信までをも含む。旅を通じて彼のキャリアをたどる興味深い内容となっている。横尾は1964年、和田誠・篠山紀信らとともにヨーロッパ6か国へ初旅行をして以降、アメリカ、インドへの旅は、彼の制作とキャリアに大きく影響を与えてきた。とりわけ60-70年代の西洋でポップアート、若者文化を現地で体験したことは、作家にとっていかばかりの刺激だったろうか。67年には個展のために渡米し、ニューヨークに魅了されて4カ月滞在、アンディ・ウォーホルやジャスパー・ジョーンズらと会ったという。70年代には、ビートルズとの出会いを通じて、インドへの傾倒をみせる。おりしも作家は国際的な評価を受けていたこのころ、精神世界や自己の内面への探求に向かった。旅で得たイマジネーション──神々、UFO、楽園風景等の不合理なイメージ──は、時空を超えて画面上に自由自在に編集されて繰返し現出する。横尾の異世界へのまなざしと作品群を通して、同時代の空気感を肌で感じることができる展覧会。[竹内有子]
2017/06/03(土)(SYNK)