2019年11月01日号
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artscapeレビュー

京都鉄道博物館

2018年01月15日号

京都鉄道博物館[京都府]

日曜に京都鉄道博物館を訪れたら、従来の鉄道ファンに加え、やはり家族連れが多く、とても賑わっていた。大空間の吹抜けに数多くの懐かしい実物の車両を並べたり(食堂車で弁当を食べることも可能だった!)、大きな鉄道ジオラマがあるなど、一見、名古屋のリニア・鉄道館と似ているが、決定的に違うのは建築や場所性だろう。リニア・鉄道館が名古屋の海沿い(レゴランドの隣である)という鉄道と関係ない立地であるのに対し、京都鉄道博物館は屋上から隣接して走る東海道新幹線がよく見えたり、営業線と連結しているだけでなく(屋外で往復1kmを走るSLスチーム号に体験乗車できる)、それ自体が歴史的な価値をもつ旧二条駅舎や扇形車庫が展示に組み込まれているからだ。ゆえに、建築ファンとしてもかなり楽しめる。また企画展でも駅舎の展示が多く、鉄道の開通に合わせて建設されたホテルや昔の標準駅舎プランなどが紹介されている。

旧二条駅は博物館のルートから言うと出口にあたり、ミュージアムショップが設置されている。館の入口があまりに素っ気ないだけにこれが出口というのは少々もったいない気もするが、最初にこれが出迎えると、あまりにレトロ過ぎるのだろう。ともあれ、1904年に建設された木造駅舎であり、瓦屋根を載せた和風のデザインが目立つ。一方で、鉄筋コンクリート造の扇形車庫はいわゆる有名な建築家が手がけたものではないが、求められる機能をストレートに造形化しており、文句なしにカッコよい。現在は耐震補強のために斜めのブレスが加えられているが、まぎれもなく、モダニズムのデザインである。中央に蒸気機関車を回転させる転車台を据え、それを扇形の車庫や検修車が取り囲む。それぞれの車庫には、大きな開口やトップライトのほか、おそらく蒸気を屋外にはき出させるための煙突が屋根から突き出す。扇形車庫に蒸気機関車がずらりと並ぶ姿は壮観である。


旧二条駅舎

扇形車庫

2017/12/10(日)(五十嵐太郎)

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