artscapeレビュー

長島有里枝/ミヨ・スティーヴンス-ガンダーラ「Forever is Composed of Nows」

2018年01月15日号

会期:2017/11/21~2017/12/22

MAHO KUBOTA GALLERY[東京都]

東京・神宮前のMAHO KUBOTA GALLERYで、長島有里枝が友人でもあるアメリカ人のアーティスト、ミヨ・スティーヴンス-ガンダーラと2人展を開催した。9月~11月に東京都写真美術館で開催された「そしてひとつまみの皮肉と、愛を少々。」は、これまでの仕事をまとめて振り返る大規模展だったが、こちらの小品展もなかなか見ごたえがあった。
スティーヴンス-ガンダーラは、高解像度スキャナーを使って植物、羽根、蜂の死骸を写しとったシリーズ、喪章をモチーフに「地球上から失われたもの、失われつつあるもの」を刺繍した作品を出品し、長島は東日本大震災後にアメリカの乾燥地帯で撮影した棘のある植物群のシリーズと、スケートボードに感光乳剤で写真をプリントした作品を出品している。2人ともある種の喪失感、環境の変化に対する鋭敏で繊細な感受性をくっきりと表現していて、高度に完成されたインスタレーションとして成立していた。
特に旧作ではあるが、長島のスケートボード作品が興味深い。1997年に神戸ファッション美術館ほかで開催された「SHASHIN」展に出品された作品(ほかに篠山紀信、荒木経惟、森村泰昌、田原桂一、植田正治が参加)だが、当時の彼女が、すでに写真表現の枠組みを現代美術の領域にまで拡大しようとしていたことがよくわかる。それはそのまま、彼女の現在の作品のスタイルに繋がるものといえる。

2017/12/13(飯沢耕太郎)

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