2019年11月15日号
次回12月2日更新予定

artscapeレビュー

アーティスト・プロジェクト#2.02 北野謙:光を集める

2018年01月15日号

会期:2017/10/07~2017/12/10

埼玉県立近代美術館[埼玉県]

「アーティスト・プロジェクト#2.02」は「収蔵作家という制約にとらわれず、活躍中のアーティストを選出」し、埼玉県立近代美術館1階のスペースに作品を展示するプログラムである。その第2回目にあたる今回は、北野謙が新作を含む16点を出品していた。
「光を集めるプロジェクト」(6点)は埼玉県立近代美術館の屋上を含む各地にカメラを設置し、半年間露光して得られた画像をスキャン、調整してプリントしたシリーズである。画面には季節の変化によって少しずつ移動していく太陽の軌跡が、都市空間を貫くように斜めに写り込んでいる。曇りや雨の日には光の軌跡が途切れ、時にはゆらめくようなフレアーが出現する。長時間露光によって、太陽と都市とが織り成すダイナミックな眺めがあらわれてくるのだが、それがどのように形をとるかは、やってみなければわからない。
もうひとつの新作の「未来の他者」(5点)も意欲的なシリーズである。誕生してから4日のあいだに撮影された新生児の、複数のイメージを多重露光すると、手足をゆるやかに動かす画像が重なり合って、思いがけない形が見えてくる。北野のこれまでの多重露光作品は、複数の他者の像を合成したものだったが、ここでは単独の個体の姿が定着されている。ほかにこの2つの新作を繋ぐように、実質的なデビュー作である都市風景の長時間露光のシリーズ「溶游する都市/Flow and Fusion」(5点)が展示されていた。
本人は否定的なようだが、これらの写真群には山崎博との共通性があるのではないかと思う。特に「光を集めるプロジェクト」は、太陽の軌跡の定着というコンセプトが、山崎の「HELIOGRAPHY」と同じなので、余計にそんなふうに感じた。いかに厳密に作業を進めていったとしても、どこか予想不可能な揺らぎが入り込んでしまう、そんな「計画と偶然」のダイナミズムは、山崎から北野へと受け継がれ、さらに大きく開花しようとしているのではないだろうか。なお、東京・恵比寿のギャラリーMEMでも、同時期に北野の個展「光を集めるプロジェクト」(11月25日~12月24日)が開催された。

2017/12/01(飯沢耕太郎)

2018年01月15日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ